HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

Baby don't cry8



































そうか、…とそれだけ呟き、ユノさんは再び洗い物をはじめた。 
ジウも入店したことだし、そろそろ帰ってくれてもいいのにと思うが一向にその気配はなかった。




「あの~、ユノさん?」
「なんだ?」
あー、機嫌悪いな、と言うより先ほどまでの親しげな雰囲気が夢で通常に戻っただけなのか?
「もう5時過ぎてますけど、仕事お休みなんですか?そろそろ帰った方が、…」
「休みなわけあるか。今日は8時から早朝会議だ。」
「えーっ!それなら尚更、」
慌ててユノさんの洗い物を受け取ろうとするが、サッとかわされやっぱり感じ悪い。




「どうせ帰っても寝る時間はない。着替えとシャワーの時間さえあればいいから、待つことにした。」
「は、待つ?」
何を待つと言うのだろう。
再度聞き直そうと口を開いたところでジウがやってきてユノさんへ丁寧に挨拶をする。
「はじめまして。キム・ジウと言います。本日はよろしくお願いします。」
一店舗に2人しかいない社員の休暇をまわすため、他店舗や本社から社員がヘルプでくることはよくあることで、そのたびに丁寧な挨拶で迎えるようバイトへ指導してあるのだ。
それをジウはしっかりと実践し、そしてユノさんを見てポッと顔を赤らめる。
素直だなぁと、そんなジウが可愛くて僕はクスッと笑い、社員じゃなくて新しい経営者だと説明した。



「やだ、ごめんなさい!///もう、店長、先に教えてくださいよっ。」
さらに赤くなったジウの頭をポンポンと撫でてやり、大丈夫だよと笑いかける。
「ジウ、オーナーはいい男だろう?それにとても仕事熱心なんだ。」
「あ、はい、///」
「ふふ、ジウ、真っ赤だ。」
顔に出やすいジウが可愛くてからかうように顔を覗きこむ。
もうっ!と膨れっ面するジウへ僕は声にだして笑ってしまったのを、
「チャンミナ。」
またしてもユノさんが愛称でよんできた。
こういうときこそ、“シム店長”じゃないの?と思うが、愛称呼ばわりしたくせに妙にかたい口調もいただけない。
こんな若い女の子を恐がらせてどうすんだよ。



「オーナー、ありがとうございました。あとはジウと2人で製造するので、オーナーはどうぞお帰りください。」
僕はわざとらしく深々と頭を下げた。
どうもユノさんが一緒だといつものペースが崩される。
ユノさんの一挙手一投足が気になるんだ。
ユノさんへうっとり見惚れてしまうジウは当然の反応だと思う。
それに対し鼻の下を伸ばすでもなくその視線を何てことないようにかわし、真っ直ぐにチャンミナとよんだ人を。


「チャンミナ。俺はまだ確認したいことがあるから帰らない。しばらく倉庫のチェックしてるからな。」




──どうして僕は嬉しいと感じてしまうのだろう。





「え、ユノさん?ちょっと、」



キッチン手袋を外しながらさっさと厨房を出ていった人を追いかけたい衝動にかられるが、店のオープンは待ってくれない、のんびりしてる時間などなかった。








フライしたドーナツのベースを専用の棚にどんどん積んでいく。
それを順番に仕上げていくのがジウの仕事で、チョコが乾いて完成したドーナツはトレイに並べられホール担当によってショーケースへ陳列されるのをまつのだ。
もう僕もジウも無言で黙々とドーナツの製造に集中していた。
しばらくして呼び鈴の音でハッと手を止める。
ああ、もうそんな時間か。
それは毎朝ほぼ決まった時間にくる納品業者で、仕方ないとわかっていても製造の手が止まる納品作業はやっかいだった。




裏口を出たスペースに山のように納品されるから、それを急勾配の階段から運びこむ作業は楽ではない。
駅前の狭い立地ならではの店舗だからどうしても2階が倉庫になってしまい、週に4回の納品はとても骨の折れる仕事なのだ。
「ジウ。納品確認へ行ってくるよ。」
「はい、お願いします。」
ジウへ声を掛けてキッチンエプロンと手袋を外し厨房をでる。
納品書と現物の確認をして納品業者のお兄さんへサインをし、そして外に積まれた原材料をすべて2階へ運ばなければならない。
階段を降りていくと話し声が聞こえた。
ああ、そういえばユノさんがいたんだと気づいたところへドア付近に立っていた業者のお兄さんが僕へペコリと頭を下げる。
「シム店長、配慮が足りず申し訳ありませんでした。」
恐縮してそんなこと言うから不思議に思うが、業者のお兄さんは失礼しますとひと声かけて勢いよく原材料を運びだした。
「え、」
「さくっと階段途中まで運ぶんでシム店長は納品書と照合していってください。俺、力だけはあるんでさっさとやっちゃいますね。」
明るく言って本当にさっさと階段の上部から順に原材料を置いていく。
「あ、ありがとう。悪いね。」
「いえいえ。もっと早くやるべきでした。本社の方に言われるまで気づかずに申し訳ありません。」






それでは失礼します!と元気に業者さんが帰ったあと、階段はびっしりと原材料で埋まっていた。
取りあえず冷凍もの冷蔵ものを片付ければ後は時間をみて追々片付ければいい。
僕はその光景を感嘆の思いで眺めていた。
「お前はやっぱり甘いな。」
ふと振り向けばユノさんで、腕組みをして壁に寄りかかるように立っている。
「納品業者にとってうちは客になるんだぞ。ある程度のサービスは要求すべきで、階段まで納品を運ぶよう折衝するのは当然お前の仕事だろ。」


「あ、そうですよね、…すみません。」
そう、僕は甘い、押しが弱く優柔不断だ。
ずっと考えていたけど頼めなかったこと。
それをユノさんはたった一度納品に立ち会ってすぐに折衝し、業者さんと揉めることなくすんなりと作業効率をあげてしまった。
どんな話し方をしたのだろう。
見ておけば良かったと後悔した。
ドーナツ作りでは残念極まりないユノさんだけど、やはりこの人はデキル人なんだ。



「でも普段からお前が感じ良く接しているから、相手も感じ良く応えてくれたんだろう。その誠実さはお前の長所だな。」


ふわりと大きな手が僕の前髪を梳き、緩やかに口角をあげた人が優しげな視線をむける。



なぜだろう。
大量の原材料を必死で運びあげた時よりもうるさい。
心臓の鼓動が、──なぜか、とてもうるさいんだ。














にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト
|    |