FC2ブログ

HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

Baby don't cry18

































最後に誰かを好きになったのはいつだろう。
友人関係からなんとなく盛り上って付き合いだしたり、人恋しい時期にタイミングよく告白されれば受け入れもした。
まだ若い僕の恋愛はおままごとのようで、会えない日の寂しさすら恋を演出するスパイスだったのに。






「最近オーナー来ないよな?」
何気なく呟いたのは僕と入れ代わりに入店したソジュンで、だからといって困るわけじゃなく逆に細かいチェックをされないからせいせいしているようだ。
「ハロウィンが終わればすぐにクリスマス商品が出て一年で一番忙しい時期なんだ。オーナーも正しいんだろうけど、細かいよなぁ?」
苦笑いのソジュンへそれはお前が悪いだろと僕は渇を入れた。
丁寧な接客丁寧な製造のソジュンだが発注でもそうだったように細かいところでいい加減さが目立つ。
「期限管理表をまとめて書くのはよせよ。意味がないだろ。それに何でもウォッシャーに突っ込んだり、すぐポーター作業を進めようとするのもよくない。」
「ちぇ~っ、」
逃げるように口を尖らせ更衣室へ入っていったソジュンへ再度呼び掛けるが、中から聞こえるのはソジュンの鼻歌のみで本当に調子がいいんだコイツは。



最近忙しいのか顔を見せないユノさんは品質管理をとても重要視していた。
どこで調べてきたのか本業とは畑違いのことなのにとても詳しく、それだけでも僕からしたら尊敬に値するのに。
店へ来るたびショーケースを確認し製造日報で製造時間を確認する。
ホイップやドリンク、トッピングチョコに至るまで消費期限のチェックを欠かさず、どうってことない気の緩みが大きな事故を引き起こし、それは店の存続に関わると重要性をいつも説いていた。



煙たく思われがちだがユノさんによるインセンティブは確実にショップの意識を変え、それが良い方向へ変わっているのが店の業績アップからも窺えるのだ。
すごい人だと思う。
客目線に立ってショーケースの配列やディスプレイにまで意見をだし、だからといって僕をないがしろにするわけじゃなく寧ろやる気を奮い立たせてくれる。



会社のトップとして文句のつけようがなく、口先だけじゃなく自ら足を運び引っ張っていく姿は理想の上司と言えるだろう。



それなのに僕はどうみても部下失格だ。



「なぁチャンミナ、最近オーナーから連絡あんの?」
「ないよ。」
「ふ~ん、まぁこんな小さい店舗へ顔を出す方がおかしいくらいの人だもんな。モッチリングもそろそろ完成するのか?それにしても時間がかかりすぎじゃね?オーナーって頭でっかちのくせに製造はからっきしなの?」
「そんなことない。もうほとんど出来てるけど、会長が直々に店へ来て確認したいらしい。日程の調整と製造を忘れないためのトレーニングだよ。」



へぇ、俺も同席したい。と興味ありげなソジュンとは裏腹に僕のテンションはどんどん下がるばかり。


煩わしいはずのトレーニングが今では僕の楽しみになり、真剣に店の成長を願う人へただ会いたいと願ってしまう。
焦がれるとはこういうものかと。
ただ会いたくて。
皮肉めいた笑いさえ今の僕には輝いて見えるだろう。
チャンミナ、と呼ぶ声に腹の底からじわりと震えるだなんて、これまでの僕が聞いたら笑い転げるかもしれない。


どうにかなりたいとか、そんなこと思っちゃいない。
ああ、…いや、思っているのか?
同性相手にこんな感情、しかも今まで経験したことのない湧き出るような感情だ。
あの日玄関で覗き見した美人秘書とユノさんが夢にでる。
深く重なった唇の細やかな動きと濡れた音まで再現され、胸をかきむしるような痛みとは別にユノさんの色香に魅了される僕がいる。 
恍惚とした意識のなか、つい下半身へ手を伸ばしたのも一度や二度じゃなかった。



ひどく落ち込んだ翌日に限ってユノさんから連絡が入ったりして。
“そろそろ魔法のグラスが必要だから来ないか?”とそんな誘い。
人がこんなに苦しんでるのに!と腹を立てる僕はまだまだ未熟者だけどいいんだ。
「魔法のグラスはあなたの豪華なマンションの立派な食器棚にあります。ご自由にどうぞ。」
そう返す僕へ、
“お前が足りない”
なんて、ひとこと。
それだけで空でも飛べそうなほど舞い上がる自分が信じられない。



いつの間にか僕はユノさんに夢中だった。









「チャンミナ~!悪かったって!」
「え?っ、わ、」
気づけば制服に着替えたソジュンが目の前にいて、なぜか大袈裟に腕を広げ抱きついてくる。
「な、なんだよっ!」
ソジュンのハグ好きは今に始まったことじゃないけど、ついさっきまでユノさんのことを考えていてそれでこのハグとか、みょうに恥ずかしくて頬がほてるのを止められない。
「ぅわ、チャンミナ、真っ赤ぁ。話の途中で逃げちゃってゴメンってだけなのにどうした?」
「べつにっ!///」
ああ、ソジュンにだけは僕の秘かな恋心をバレたくないのに。 
「最近ヘンに色っぽいし、トレーニングの日もうちへ来なくなったよな。もしかして店の誰かと付き合ってる?ひとり暮らしの女の子なんていたっけ?」
不思議そうにするソジュンに“ユノさん”なんて選択肢はないようで助かった。
それでもぎゅうぎゅうと痛いくらいに抱きつかれ、いい加減にしろ!と振り払った腕ごとさらに囲われればさすがに焦る。


「ソジュン?なんだよ、離せよ、…」
「あー、…久しぶり、チャンミナの抱き心地。」
「は、はあ?///」
「だって最近遊んでくれないんだもんよ。ゲームも途中だし、お前用に買ってあるビールがいつまでもなくならないし。それなのにお前、いつもそわそわウキウキしちゃってさ。」
「っ、なっ!///」
またしてもウキウキとか言われる僕ってどうなの?
そんなに僕は浮かれていたのかと思い返すけど、自分のことって分からないものなんだ。



「ごめん、ソジュン。最近急に店の環境が変わったから落ち着かなくて、…近いうちに飲もうか。ゲームの続きも気になるし、また泊めてよ。」
ぽんぽんとソジュンの背中を撫でなかなか離れないソジュンをぎゅっと一度だけ抱きしめる。
僕は自分のことばかりでソジュンに寂しい思いをさせていたのかと申し訳なく思った。
「じゃあさ、今夜どう?俺は明日休みだし、チャンミンは昼からだろ?」
名案とばかりに明るく言うソジュンは仕事で思うことはあってもやはり僕の親友なんだ。



そうだな。と頷くタイミングで肩を引かれ、ガクッと頭が揺れる。
ここは二階で、あれ?階段の音ってしたっけ?
それほど静かに上がってきたのか、キョトンとした僕を睨むように立っていたのはユノさんだった。


「え?ユノさん。あれ?今夜トレーニングの約束してましたっけ?」
むすっとしたユノさんからは何の返答もなく、一体これはどういうことなんだろう。
「ユノさん?あの、もし急にトレーニングの時間が作れたのなら僕もうあがりですし、ソジュンが終わるのを待ってるつもりだったんで大丈夫です、できますよ。」
僕としては最大限に冷静に言ったつもり。
バクバクと心臓は飛び出そうだし機嫌の悪そうなユノさんでも久しぶりに会えて嬉しかった。


ソジュンの背中へ置いたままの手を慌てて引っ込めて、久しぶりなんだから笑って話したいと僕はにっこりと微笑む。
急とはいえ時間があいたのなら暫くトレーニングを名目に一緒にいられるじゃないかとユノさんの返事を待っているのになかなか結んだ口が開かない。


「チャンミナ、」
「はい。」
やっと言葉を発したユノさんへほっとしたのも束の間、ぐっとよろけるほど腕を引かれ、荷物は?と唐突に聞かれる。
「はい?」
「悪いなソジュン。チャンミンとのゲームは今度にしてくれ。ビールもそう簡単に腐らないから大丈夫だ。」
「は?え、…ユノさ、」
まだ制服のままの僕を階段へ押しやり、今度は僕の返答も聞いてほしいのにまるでそのつもりはないようだ。
勝手に着替えやバッグを小脇に抱えさっさと階段を降りていく。
久しぶりの唯我独尊男は清々しいほどの健在ぶりで、さすがの僕も文句のひとつやふたつ言わせてほしい。




「ちょっとユノさん!なに勝手にっ、…ソジュンと約束したのに、」
「俺もした。」
「はい?」
最近ユノさんと会ってないし喋ってないんですけど?
適当なこと言うなと階段途中で止まったのを腰を抱くように押されたら動くしかなく。


「…お前が足りないって、言ったろ?」
密着した体、近すぎて背けた耳元にいらだちを含む呟き声。 
「一体いつの話をしてるんですか。」
それは結構前の話で、もう僕しか覚えてないだろうと思っていたのに。


「それにヨネさんがメシを用意して待ってくれてる。」
「ええ?」
それならそうと先に連絡くれたらいいのに、…そう思うけど、でもきっと今夜も秘書に多大な迷惑をかけて無理やり帰ってきたのかもしれない。


「ヨネさんが会いたがってる。」
「あ、…それは僕も、…」


「…違うな、…それは俺か。」
「っ、…///」



ポツポツとそれは独り言のようで。
むすっとした顔も低く掠れた声も不機嫌極まりないのに、空を飛べそうなほど、やはり僕は舞い上がってしまうんだ。





















にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト