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HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

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APPLAUSEー恋慕ー3


































「っ、ハヌルさん!」
ひとりでカウンターに座る人のじっくり読みいってる雑誌を取り上げた。
休憩をもらってハヌルさんの隣に座り、その雑誌を反対側のスツールへぽんと置く。
そう言えば以前はやられっぱなしだったから、やり返してやったと少しだけ気持ちがいい。


「どうした、チャンミン。休憩?」
「話があるんですけど。」
「ん?」
優しくハヌルさんが笑って。
それが僕の醜い感情なんかもすべて覆いつくすような懐の深い微笑みだったりして。


ああ、僕はこの人のこういうところに弱いんだと思う。



胸がしめつけられるような高揚と落胆を繰り返す“好き”ではないけど。
もしこの人を選んでいたら僕はふわりと幸せの真綿にくるまれていただろうと思わせるような。



「残念ながらまだ恋人はできてないぞ。」
「そ、そんなこと聞いてません。」
「そうか。はやく恋人をつくってやればチャンミンの罪悪感も少しは減るんじゃないかと思うんだけどな。」
「な、…っ、」
何を言い出すのかと。
久しぶりのハヌルさんがハヌルさん過ぎて困る。
思わず赤面した僕を見て、
「まだ好きだよ。」とか。
「そ、そ、そんなこと、聞いてっ、///」


どうしてこの人はいつまでも僕なんだろう。
イタリアなんてゲイのメッカじゃないの?
アチラヘ行ってすぐ恋人を作ると思ってた、いや遊び相手には困らないとか一昨日自慢してなかったっけ?


「あはは、ごめん。困らせたな?」
そう言って僕の頭を撫でる手は昔とまったく変わらない。
僕は反射的に顎を引きハヌルさんの手を外した。
ハヌルさんの想いがあるのなら尚更、僕へ触れるのはユノだけ、ユノじゃなきゃ駄目なんだ。
「あの、…イ・ダルが写真を撮らせろってしつこくて困ってるんですけど。」
僕は本来の目的をぽつぽつと話しはじめる。
イ・ダルのしつこさには懲りてるから今のうちにハヌルさんへ助けを求めるつもりだった。




ふと目線を合わせたハヌルさんはなぜか驚いた表情で。
「あー、…ヤツ、そんなこと言ってんだ。」
心外とでも言うように大きくため息を吐いた。


そして。
「あのさ、」
ハヌルさんが言いかけた言葉を、
「あ、待って。」
頭上から降ってきた慌てた声が遮る。


え?今のは僕じゃない。
僕とハヌルさん同時に振り向けば、…本当に最近やることが意味不明!
嬉しいのと腹立たしいのとごっちゃで、
こんな複雑な感情をもたらすのは目の前のこの人だけ。


「っ、ユノ!」
「あー、ハヌルさん。俺も話に入っていいですか?」
仕事がどうとか言い訳するのも忘れて僕の隣にユノが座る。
仕事しろよ!と悪態つきたいところだけど、もしかしてユノなりの牽制でこの辺りをうろうろしてるのだとしたら嬉しい。
最近妙に落ち着いて仕事に没頭していたユノが仕事をサボってまで気にしてくれる事実が嬉しいんだ。







けれどハヌルさんの話が進むたび僕の気分はどんどん沈み、ただでさえ下がり気味の肩がさらに落ちるのをとめられなかった。



ハヌルさんが大手のエージェントで契約延長になるほど活躍してると聞いていたから、当然イ・ダルも同じように活躍してると思っていた。
悔しいけど、ヤツと一度でも一緒に仕事をした僕だから分かる。
イ・ダルのカメラへ向ける真摯なまでの情熱。
軽薄な印象が嘘のように真剣さを帯び、ヤツの声は脳髄に熱く響き被写体を恍惚とさせるんだ。
それなのに。




「まったく撮ってないんですか?」


「ん、…正確には撮れないみたいだ。」



どうして?
とてもそんなふうには見えなかった。
軽薄で傲慢な態度が柔らかくカタチを変えたのは充実してるからだと思っていた。


イタリアへ渡ってすぐは取り憑かれたように仕事をこなし、なぜか急に撮れなくなったと。
気の進まないヤツを半ば無理やり観光旅行へ連れだすも旅行中撮れた写真が仕事になるとシャッターがきれない。
部屋にこもりがちなヤツを今回強引に同行させたのはハヌルさんで、折を見てこのままこっちへ戻るべきと勧めるつもりだったらしい。




「…どうして、…?」


ハヌルさんは小さく息を吐き、僕をそしてユノを順番に眺める。
少し迷ったような表情で、一度だけゆっくりとまばたきをした。
そして、──これだけが原因じゃないけど。と前置きをして1枚のハガキをバッグから取りだしカウンターへ置いた。



声が出なくて。
思わずユノの腕をつかんだ。
じっとりと手のひらに滲む汗はショックによるものか、それとも罪悪感なのか。


「俺が置きっぱなしにしてたのをどうやら見たらしい。思えばそれからヤツの様子がおかしくて、…でもチャンミン、お前を責めてるんじゃないからな。」


なんてことはない。
それは転居を知らせるハガキだった。
ここへ越したときに出した僕とユノ、連名の。


「っ、当たり前だ!チャンミンが責められる謂れはない。」
すかさずユノが声を荒げ僕の手を握り返す。
「勿論。ただイ・ダルは見た目より繊細で、思っていたよりチャンミンに本気だったらしい。卑怯な手を使ってでも奪おうとしたチャンミンがあと少しというところで奪い返された。そしてその事実をしっかり受け入れる前に慌ただしくイタリアへ発ってしまったから。」
「っ、そんなの、…」
そんなのイ・ダルの勝手じゃないかと言いかけて口をつぐむ。 
僕を好きだと叶わぬ想いを抱くハヌルさんを前に突き放すような言い方はできなかった。


だからと言って僕がイ・ダルへしてやれることは何もない。
半年の調整を経て完全にモデル業界から引退する前も、そして引退した後も、僕がイ・ダルを思い出すことはなかった。
僕が想うのはユノだけで。
時々店の花や外壁をつたうアイビーや屋根に巣くう鳥と同列なのではと悩んでも、それでも悲しいまでにユノだけが好きなんだ。



「…お前を撮りたいって言うのか?」
僕の手を握ったままユノが聞くから、僕はこくんと頷く。
今更僕を撮りたいなんてどういうつもりだろう。
以前ヤツに追い込まれた記憶が戻ってきて、やはり油断ならないと思う。
それにユノだって許さないだろう。






「そっか。公開撮影を条件に撮らせてやれば?」
「え?」
「ユノさん!チャンミナ、…いいのか?」
「え、…えぇぇっ?や、嫌です!」


驚く僕の横でハヌルさんが身を乗り出す。
ユノってばいつの間に僕のマネージャーになったんだよ?
思わずムッとした僕の唇をユノの指がむにっと摘まみ、さわさわと耳たぶへ移動した。



「優しいチャンミナ。そう言って結構心配なんだろ?大丈夫、俺がヘンなことはさせないよ。」
ぶんと首を振ってもユノの指が離れることはなく。
「っ、心配なんてしてない、…っ!」
吐き捨てるようにつぶやく僕へ、


「くっ、…いつまでたっても耳のパタパタは直んないなぁ。」




そう言って、おどけたように笑った。

















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