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HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

【ホミンホ合同企画ミーアゲ(meeting again)】あなたが笑えば~最愛~その後19












  





















敷地の広さを誇るような数寄屋造りの平屋建ては玄関こそ天然檜の磨き丸太が使われ純和風の様相であったが、長い廊下を進むにつれ和と洋が混じり合う一風変わった屋敷だった。

 

ガンソクとデイル、そしてハイルの3人が住むにしては広すぎる屋敷をユンソクは落ち着かない様子で案内されている。
そして通された客間に現れたガンソクを見てユンソクの心臓はここへやってきた目的と関係なく大きな拍動を刻み、ユンソクは申し訳なさに思わず顔を伏せてしまった。
普段のきっちりとしたスーツ姿が今はゆったりしたスラックスと細身のVネックセーターに代わっていて、それは出会った頃の面影を残すほど若く見えたのだ。



「ユンソク。急用だと聞いたが。」
久しぶりに会ったというのに愛想笑いもできないのかとユンソクは心の中で毒づき大きく息を吸う。
「はい。ユンホさんの件で。」
なんとか冷静さを取り戻し本来訴えなくてはならないことを頭の中で反芻するが、まったく感情を読めないガンソクの視線だけが射るように痛い。
「そうか。ところでユンソク、仕事の方はどうだ?」
「え?あ、…じゅ、順調です。今まで役者がすべての仕事を担ってると思ってきましたが、これほど多くの人間が関わり、多くの企画が生まれては消えていくのを知っただけでも裏方へ回ってよかったと思います。」
思わず素直にこたえてしまいユンソクはシマッタと思うが、何年経とうが昔のクセが抜けないのかやはりガンソクはユンソクにとって社長なのだから仕方ない。
「そうか。役員として積極的に会社へ貢献してると聞いたぞ。子役時代の天狗だったお前からは想像もつかないな。」
そこで初めてガンソクの頬が緩み、それを嬉しく思う自分がユンソクは情けない。
自分は何をしに来たのだと自らを奮い立たせる。
「っ、そんなことより、跡継ぎなんてものの為にチャンミンを悲しませるのはやめてください!」
ユンソクが勢いよく吐いた言葉にガンソクの眉がピクリと動いた。
まるで関係ないこと言うなとでも言いたげに。



「跡継ぎは、“なんてもの”じゃないだろう、大切なことだ。それにこの件に関してはロジンへ一任してある。俺に訴えてもどうしようもないぞ。」
昔から変わらない。
ガンソクの低くゆったりとした話し方はそれ以外の選択などないような迫力があり、口下手なユンソクでは対抗することもできない。



「…わかりました。」
ゆっくりとユンソクは言い、腰かけたソファーから立ち上がる。
「では、すぐにでもチャンミンを連れて離れを出ます。」
チャンミンは嫌がるだろうが、なんとか理由をつけて暫くの間チャンミンを連れ出したい。
ユンソクは本気だった。
いずれ必ずチャンミンにはバレてしまうだろう計画をユンホが阻止できればそれでいいし、できなかった場合チャンミンの逃げこむシェルターになってやりたい。



今のチャンミンと同じ年頃の自分をユンソクは思い出す。
16で大物映画監督に抱かれ、代わりに国民的映画の準主役に抜擢された。
それからは無我夢中で仕事をして、忘れたかった、何もかも。
たった2年間とは思えないほど色濃く今でも鮮やかに心に残るガンソクとのやり取りも。
身体が引き裂かれるような痛み、できるならその欠片だけでも行きたかった約束の料亭も。
しばらくしてガンソクが足しげく通う女性の噂を聞いて、すぐにその女性が子を宿したと知った。
自分で選んだ道なのに、真っ暗になった視界では監督の誘いを断ることすら億劫で。
それからどうしたのか。
曖昧な記憶のなかで、仕事だけが自分の生きる意味になった。



今のチャンミンと当時の自分ではまるで違う。
違うのに重ねてしまう。
ユンソクが守りたいのはチャンミンであり、あの頃の自分なのだ。



「取り引きと言えどユンホさんが女性と跡継ぎをもうける家にチャンミンを置いておけません。とにかく早急にマンションを見つけます。チャンミンはまだ貴方の監視下にあると聞きました。チャンミンを僕の元へ呼び寄せる許可をどうか。」
真剣に訴えるユンソクへガンソクは何もこたえない。
喉の奥に何かつまったような苦々しい顔つきでユンソクを見据えていた。





30畳はあろうかという客間には絵画や写真がいくつも飾られていて、なかにはユンソクでも知ってる有名な画家の作品もあった。
ガンソクの視線に堪えかねて、ユンソクの目線がぐるっと壁を一巡する。
社長に絵心などあるのだろうか、そう思ったらユンソクはなんだか笑えて、少しだけ柔らかい表情になる。
「社長。離れとはいえ貴方のお屋敷に長い間お世話になりました。貴方が未だに僕を許していないことがわかっただけでもよかった、すっきりしました。」
「…ユンソク、」
「貴方がなにも答えてくださらないので、僕は僕の勝手にしますね。」
最後ににっこりとユンソクは笑って、部屋を出ようと踵をかえす。




が、それは目の前に立ちはだかる大きな体に阻止された。



「社長?」
ガンソクが何も言わずただ無言でユンソクの行く手を遮るから壁のようだとユンソクは思う。
昔からそうだった。
この人はどうも言葉が足りない、と小さくため息を吐きガンソクを避けるように左へずれる。
「社長!」
それが同時に動くからユンソクの足が止まる。
仕方なく右に動けば目の前の壁も同じように動き、どう見てもそれはわざとやってるようにしか思えない。
さすがに業を煮やしたユンソクがぶつかる勢いで前へ踏み出したのを、避けるどころかそれをガンソクは真っ向から受けとめた。



「しゃ、しゃちょ、…っ、」
「駄目だ。」
「え?」
「勝手なことはさせない。」


勝手なのは誰だとユンソクは睨みつけたいが、その勝手な人がユンソクを片手で引き寄せ視界を悪くさせていた。
長年役者という職業につき、実はラブシーンがあまり得意ではなかった。
経験不足なのかもしれない。
どうにもギクシャクしてしまう抱擁シーンが情けなくもあったのだが、


けれど、きっとこれよりはマシだろう。


そう思ってしまうほど、不慣れなぎこちない抱擁。
いや、抱擁じゃないのか?
現にガンソクの腕はユンソクの体へぐるっとまわされているが、実はほとんど触れていない。
後頭部をおさえる手のひらだけが唯一体温を感じて、少しでも力を抜けば寄りかかってしまいそうなのを可笑しなことに二人してこらえてる感じだった。



「は、反省のポーズさせられてる猿みたいじゃないですか。離してください。」
若干の照れ隠しも混ざって呟いたユンソクへ、ああ、悪かった。とガンソクはあっさり身を引き、お互いの少し空いた空間にもどかしい空気が漂う。
伏し目がちに向き合う二人はまるで中学生の初恋のようで、ロジンや秘書達が見たら目を丸くして驚いたに違いない。
若い頃から男色を隠さず手当たり次第ちょっかいをかけては遊び人の名を欲しいままにしていた男なのだから。



コホン、…と咳払いしたガンソクの顔は気まずそうで、それでも一言一言つぶやく言葉が相変わらず威圧的なのがユンソクには不思議だった。
「どうしてもチャンミンと離れを出たいと言うなら此処へ来い。部屋なら有り余ってるからな。」
「そ、そんなの、…」
それではまるで意味がないじゃないかと食って掛かろうとするユンソクをガンソクが止める。


「お前は毎日俺のために篠笛を吹くんだ。もしかしたら俺の気が変わってロジンへ無茶なことはするなと進言するかもしれないぞ。」
そんな交換条件はおかしいとユンソクは言い返したいのに、口を開けば飛び出そうなほど心臓がばくばくと鳴っている。
「…マンションを、探します。」
やっと言えた言葉にガンソクの眉がピクリと動き、また沈黙が襲う。



不器用すぎる二人の会話はどうしても言葉足らずで、肝心なことが言えず時間だけが過ぎていく。



そうか、と最初に切り出したのはガンソクだった。


「では、新居が見つかるまででいい。此処へ移り住め。…そうだな、代わりにハイルをあちらへやろう。ユンホの嫁候補は高校生らしいからハイルと一緒の方がチャンミンも気が楽だろう。」
「え、…あの、」



どうしてこうなるのかユンソクにはわからないが、手狭な離れへハイルを呼び寄せ代わりにユンソクが母屋で世話になることになっていた。
勿論チャンミンも連れてくるつもりだが素直に応じてくれるとはとても思えない。
何よりユンホが許すはずがないのだ。



それでもユンソクが、はい。と返事してしまったのは。
すぐに探すつもりの新居が決まるまでの間、そのほんの少しの間でいい。


遠い昔失くしてしまったものを、
ほんの少し、
探してみたいと思ったのだ。



















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