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HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

【ホミンホ合同企画ミーアゲ(meeting again)】あなたが笑えば~最愛~その後24




































「…なんだ、コレは。」


ガンソクが相変わらずの仏頂面でつまみあげたのは可愛らしくラッピングされリボンまで飾られたハート型の手作りクッキーだった。
ガサガサと勝手に開けるからユンソクは慌ててそれを取りあげる。
「これは離れに通ってるソユンさんにいただいたんです。お菓子作りが趣味なんですって。それを勝手に、…相変わらず手癖が悪い、…」
ユンソクは小さく息を吐きツインのベッドルームと続き間になった豪華な客間のソファーに腰をおろす。
離れでは10畳ほどの和室を使わせてもらっていたからどうも広すぎるこの部屋が落ち着かないユンソクだったが、それよりもっと居心地の悪い原因があった。



「手癖が悪いか、…ふ、そんな悪態を吐くくらいだ、具合が悪いわけじゃなさそうだな。お前が元気ないと聞いてきたんだが。」
今夜はめずらしく日付が変わる前に帰宅したらしいガンソクはスーツからゆったりとした部屋着に変わっていた。
ゆっくりとユンソクの前に立ちユンソクを見下ろす。
三人掛けのソファーは充分すぎるほど余裕があるのに座ろうとしないのはすぐに部屋を出ていくという意思表示だろうか。
「食事から身の回りの世話まで居候の僕なんかに充分すぎるほどよくしていただいてます。ただ今まで常にエナさんやチャンミンと顔を合わせて食事をしていたので、ひとりぼっちの食事が寂しいだけです。」
正直にユンソクはここへ越してから数日の味気ない食事について訴える。
離れではもともとユンホひとりが住んでいた家に四人もいるのだ、プライベートなどないに等しい。
バタバタと廊下を歩く音もよく聞こえたし、居間には誰かしらいて話し相手になってくれた。
ユンホが早く帰る日はそれこそチャンミンのご機嫌が目に見えるほど良くなるので、ウキウキと弾むようなチャンミンが可愛くて仕方なかった。



「ふ、…もうホームシックか?」
「…そうかもしれません。」
毎日俺の為に篠笛を吹けと言ったことなどガンソクは忘れてしまったのだろうか。
ユンソクがロジン率いる組員によって半強制的に引っ越してきてからガンソクとゆっくり話したのは今夜が初めてなのだ。
「新居探しもなかなか思うようにならなくて、…」
「…そうか。」
同じ屋根の下に住んでいてそれでも会うことが叶わないなら、いっそ距離ができた方がどんなにか。
再び真剣に新居探しをはじめたユンソクだったが、条件に合った物件を見つけるもののあと一歩で誰かに先を越されたりなぜか断られたり、ついてないことだらけだった。




防音だろう部屋でユンソクは毎日のように篠笛を奏でる。
いつかチャンミンが庭先で聴いた寂しい調べ。
離れであれば屋敷中響き渡った笛の音もここでは虚しく部屋をこだまするだけだ。



ふとガンソクの手がユンソクの頭を撫でた。
小さな子供にするように少しぎこちなく動くガンソクの手。
「いい歳していつまでもガキみたいに言うな。食事の時だけでもチャンミンを呼んだらどうだ?」
そんなことを言うガンソクにユンソクは心底腹が立つ。
何のために自分はここに居るのか。


「っ、社長!貴方じゃなきゃ意味がないっ!」


思わず吐いた言葉。
それが無性に恥ずかしくてユンソクは逃げるように立ち上がりあてもなくその場を離れた。


「ユンソク。」
「……、」
「待て、ユンソク。」
「……、」



待ちたくない。
昔から振り返ることなく前を歩く人を待ちたくなかった。
後ろ手を取られ、そのまま壁に張りつけられてもユンソクはガンソクの顔を見ようとしない。


「ユンソク、…ここ暫く厄介な案件で忙しかった。お前がそう言うならできる限り早く帰るから。」
「……、」
今夜のガンソクは饒舌だ。 
そうさせてるのがユンソクだということをユンソクは気づかず押し黙ったままで。
「それとも毎日お前の会社へ迎えをやるか?帰りに俺のところへ寄れ。どこかで食事してもいいし、真っ直ぐ帰ってもいい。」
どうしてそんなに必死なんだとユンソクは小首を傾げる。
それほどユンソクの言葉がガンソクを高揚させたとは夢にも思わないのだ。



「……しゃ、社長、…?」


ゆっくりと視線を合わせたユンソクは、決まり悪そうに深く眉間にしわを寄せ怒っているのか笑っているのか、ひどく複雑な表情のガンソクを見ることになる。


「…社長は僕と食事をしたいんですか?」
ユンソクがそう言えば、カァっとガンソクの顔に赤みがさした。
「っ、…お前は、…本当にガキの頃から生意気なヤツだ。」
「でもそういうことですよね。」
「…おまけに高飛車だ。」



東神会がユンソクの芸能事務所から撤退しユンソクが俳優として地位を確立する頃にはユンソクの謙虚さは関係者の間で評判になるくらいだったのだが、ガンソクのなかでユンソクはいつまでも小さな劇団を背負った看板子役なのだ。
そんなガンソクがユンソクは楽しい。
生意気とか高飛車と言われた遥か昔、無鉄砲だけど自由だった子役時代を思い出して胸があたたかくなる。



「社長もたまには正直になったらどうですか?」
「正直言うと、俺は毎日目が回るほど忙しい。」
そう言えば子供相手に本気で怒ってくるような人だった。
いや違う、普段の堂々として紳士的な立ち振舞いからは想像できないほど子供っぽいのだ、自分にだけは。
ユンソクの思わずこぼれた笑みにガンソクは口元を歪める。
「…なぜ笑う?」
「笑ってません。」
「嘘言うな。」
「いつも嘘をつくのは貴方です。」
毎日自分の為に篠笛を吹けと言ったのに。



ユンソクとガンソクの会話はいつまでも堂々巡りで、意地っ張りの二人からほんの少し漏れた本音もすぐに何処かへ埋もれてしまう。



「もういい。仕事を残してきてるから書斎へ戻る。」
ガンソクが体を離しユンソクを解放すれば、スッと冷たい風が吹いたようでその冷たさに二人の表情がかたまった。
「勝手にしてください。」
「…ああ。」
もどかしい、
もどかしくて堪らないのにきっかけを失くしては素直になれない。
ユンソクは去っていくガンソクの背中を眺めていた。
自分が元気ないと誰かに聞いてわざわざ此処まで来たのだろうか。
もしかして仕事を持ち帰ったのはそのせいかもしれない。



ガンソクは何も言わない。
毎日のように篠笛をせがんだ屋上でも。
初めて食事に誘った料亭の意味も。
それをすっぽかしたユンソクに対しても。




「ユンソク、…」
ドアを前にしてガンソクは立ち止まり背を向けたまま声を掛ける。


まだ、…もっと話がしたい。
そうユンソクが言おうと口を開きかけた時、
「チャンミンの様子はどうだ?」とガンソクが尋ねた。
「ユンホが跡継ぎをもうけるのを、チャンミンは了承しているのか?」
ゆっくりと振り向きそう言うからユンソクはたっぷり間をおいて、はい。と答える。
ガンソクのひとこえでどうにでもなる話を白々しく心配したような言い方をしてとユンソクは腹が立ったのだ。
「ユノさんの子供を世話したいと、…やっと恩返しができると気丈に言ってますが、僕は見てられない。すぐにでもチャンミンを連れて引っ越したいくらいです。子供は仕方ないにしても、ユノさんの子供を産む女性と一緒に生活する意味はないと思ってます。」
それなのになかなか新居が決まらないからユンソクの苛立ちは募るばかりだというのに、ガンソクが嬉しそうに笑うからユンソクの苛立ちがさらに増す。




「ユンホは羨ましい男だ。」
「…え?」
「ああ、いやチャンミンが羨ましいのか。」
「どこがです?可哀想で見てられないのに。」


責めるように見つめるユンソクのもとへガンソクが再び戻り、先程とは違う穏やかな表情にユンソクはなぜか寂しい。
チャンミンがガンソクにとって特別な人間だと知らされてるような気がしたのだ。


「チャンミンのあの頑固なまでの愛情はどこからくるんだろう。なあユンソク、…お前にはわかるか?」
ユンソクは何も答えない。
答えられなかった。
ガンソクの腕がふわりとユンソクを囲い、気づけばガンソクの胸に抱かれていたから。
「っ、…しゃ、…」
「ユンソク。」
「あ、あの、…」
「…ユンソク。」
何度も名前をよばれ、ユンソクは返事をしようにもこの状況に気が動転しまともに答えられる気がしない。





「俺は芸能の世界から離れて久しい。お前が今までに出演した映画の話をしてくれるか?明日から、…食事をしながらでも。どうだ、居候代にしては安いだろう?」


前ほどではないが少しだけぎこちない抱擁がユンソクの寂しさを染み入るように埋めていく。
ユンソクはほっと息を吐き、ガンソクの肩へゆっくりと体をあずける。



気が遠くなるほど遥か昔の想いが、ユンソクはここへきてやっと一歩踏みだせたような気がした。








そして数日後、待つようにと指定されたガンソクの書斎の本棚で、ユンソクはおびただしい数の書籍をものめずらしく探っていた。
退屈な夜に借りられないかと小難しい背表紙の本を流し見していると、スライド式のその奥から隠すように並べられたDVDを見つけてしまった。



それは子役時代から引退するまで。
ユンソクが出演した映画、すべてのものだった。

















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