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HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

【ホミンホ合同企画ミーアゲ(meeting again)】あなたが笑えば~最愛~その後32


































友人へユンソクさんの篠笛を聴かせてやりたいのですが、──そうユンホから頼まれたのは先週の話。




ユンホには何かと世話になっているユンソクがそれを断る理由などなく、それぞれの休みを合わせた今日の午後、ユンソクは離れを訪ねることになっていた。
もう長いこと使い込んだ篠笛を麻袋へそっと仕舞う。
子供の頃、掠れた音しか出せず泣きながら練習した思い出や楽しかった劇団のお囃子。
小さな劇団が芸能事務所になっても肌身離さず御守りのように持っていた。


それにユンソクにとって篠笛はガンソクとの思い出にも繋がる。
会うたび引っ張られた屋上での二人をいつもいつの時もこの篠笛が見てきた。







「ユンソクさーん!」
バタバタと廊下を走ってきたのはチャンミンだった。
「久しぶりにユンソクさんの篠笛が聴けるなんて感激です!僕、リクエスト曲のリストを作っちゃいました。」
えへへと言って広げたメモ帳にはずらりと曲名が並び、これを全部やってたら夜になっちゃいそうだとユンソクが笑う。
少し遅れてやってきたユンホはユンソクへ会釈し、ユンソクさんのお好きなようにと言ってメモ帳を取りあげるからチャンミンが思いきり膨れっ面になった。
「もぅ!全部なんて言ってないのに、…」
「今日の聴き手はチャンミナだけじゃないからな。お前は大人しく聴いてなさい。」
「あー!また子供扱いした!」
アハハと笑ったユンホがチャンミンの頭をポンポンと撫で、それが気に入らないのか乱暴に頭を振るチャンミン。
相変わらず仲の良い二人にユンソクは思わず笑みがこぼれ、久しぶりの賑やかで温かい空気に癒されていた。



エナがキッチンから顔を出し、遠慮するユンソクへ構わずいなり寿司とお茶が用意される。
山のように積まれたいなり寿司をめぐって争っているのは目の前の若い男女。
勿論それはハイルとソユンだが、いつの間にこれほど親しくなったのかとユンソクは驚いていた。
どうやらエナが作ったいなり寿司とソユンのとが混ざっているらしい。
ユンソクがよく見ればなるほど不格好なのがちらほらあり、それをハイルがわざとらしく避けるからソユンの怒りをかうのだ。
むんずと掴んだそれを無理やりハイルの口に押しこむソユンにユンソクは笑ってしまった。
そしてハイルも文句を言いながら目が怒ってない。



言われるがままガンソクの元へ行ってしまった身勝手さを申し訳なく思っていたユンソクだったが、ハイルとソユンを見て随分と気が軽くなった。
気分の良いままユンソクはチャンミンを探す。
食べ物へ寄ってこないチャンミンがめずらしいと思ったのだ。
そういえばチャンミンが少し痩せた気がする。
食欲がないのだろうか。
気になって中腰になるほど辺りを見渡すユンソクだったが、視界に入ってきたのはユンホの背中を金魚のフンのように追い回すチャンミンで、…ま、大丈夫か。そんな結論に達してしまった。







そして、少し遅れてチソンがやってきた。
いつもの柔らかい微笑みはなく、緊張が伝わるような固い表情のチソン。
ユンホはチソンのことを誰にも話していない。
できるならユンホの友人のひとりとして紹介し、何事もなくユンソクへ会わせ満足してもらいたかった。


けれど、それでは先に進めない。
あれから何度かチソンと話し、やはりチソンはその他大勢の愛人とは違うのだとユンホは思っていた。
ガンソクにとってチソンは性の対象だけではなく、若いユンソクへ抱いていた才能を活かしてやりたいという思いとユンホの母へ求めた寂しさを埋める癒しが共存しているのだ。
チソンにそれを利用するしたたかさがあればユンホも心配はしないのだが、残念ながらチソンは本気でガンソクを愛していた。
それならば情を断ち切ってやるしかない。



ロジン曰く、
「貴方のお父上は今さら小中学生のような淡い恋にうつつを抜かしておられますよ。」
と、そういうことなのだから。



「チソンさん、楽にしてください。誰も何も知らないし、それに貴方は誰かに責められるようなことはしていない。…1件電話を掛けなきゃいけないんで、チャンミンをお願いしてもいいですか?」
ユンホにそう言われ、チソンはほっと息を吐きながらチャンミンへ視線をむけた。
くりっとした目の愛らしい顔なのに時々妙に大人びた表情をする高校生。



当然、出会ったのは偶然じゃない。
内輪の話をほとんどしないガンソクからチャンミンの高校を聞きだすのにチソンは随分と苦労した。
16の誕生日を待って本宅へ迎えようとした高校生を息子に横取りされたとそれは結構有名な話で、チソンはチャンミンにも一度会ってみたかった。
自分が求めてやまない人に特別待遇され、しかもそれを裏切ったと言うのだからなんて怖いもの知らずだと思う。
そして極道の世界をよく知りながら父である組長を裏切ってまでその高校生を奪い、結果ガンソクに認めさせたという息子ユンホにも勿論会いたかった。



チャンミンの高校からの乗換駅がチソンの店に近く、それはラッキーとしか言いようがない。
けれど電車通学は稀でほぼ車で送迎されてると知ったときはさすがのチソンも諦めかけたが、たまに三男のハイルと駅で待ち合わせるのを知った。
それからはもう根気比べで、改札口でやっとそれらしい二人組を見つけるのにチソンは1カ月以上駅前へ通ったのだ。
しかし、そこからは嘘みたいにうまくいった。
それは噂の真偽が怪しまれるほど純粋で疑うことを知らないチャンミンによるものが大きい。
偶然を装った出会いに疑問を感じることなく、風景写真を眺め単純に感動しチソンを慕う。
それはハイルも同様で、あっという間にユンホと話をつけチソンを喜ばせたのだ。







もともとチャンミンやユンホへ悪意を持って近づいたチソンではない。
本当にひとめ会えればよかった。
そして本来の目的である“篠笛を奏でる天女”に会う為の
きっかけになればいいと思っていた。



それがどうしたことか、本来の目的へ一歩も進めなくなってしまったのだ。
チソンさん、と人懐っこい眸をキラキラさせて写真のうんちくを聞きたがるチャンミン。
そんなチャンミンを嬉しそうに見つめるハイル。
そしてガンソクによく似た容姿と立ってるだけで目を引く存在感、その眸が映す愛しい人。
それはチソンがどれほど欲しても手に入れることのできない特別な愛情にあふれ、巷の噂だけでは知り得ない深い絆を見た。
そこに明るく活発なソユンが加われば、天涯孤独なチソンの内に生まれた温かい感情はどうしようもなく。



このままでは中途半端な想いを抱き続けるとわかっているのに動けない自分をチソンは苛立たしく思っていたから、ユンホの今回の提案は願ってもない機会になったのだ。








そしてユンホはチャンミンに案内され居間へ入っていくチソンを注意深く眺めながら通話の相手に話しだした。



「ユンソクさんをお借りしてます。どうしてもユンソクさんの篠笛が聴きたいという友人がいまして、…イ・チソンという男です。ご存知ですか?父さん。」









居間へ足を踏み入れた瞬間、ぶわっと香るくちなしの匂いにチソンは思わず顔をしかめた。
甘い、甘すぎる濃厚な匂いはあまり得意ではない。


同時に聴こえてきた笛の音。
梅雨明けが間近なカラッとした晴天に、庭先で背を向け立つ男が妙に映えていた。




ガンソクが長い年月、ずっと背に抱いた天女を手に入れたと噂で流れた。
だからこそ愛人を次々と切っているのだと。





──やっと、会えた。



真っ青な空を深緑が仰ぎ、その隙間を縫って射しこむ日差しがしなやかな背中を包むように伸びている。


まるで境界線だ。
チソンは胸に疼く鈍い痛みに顔をしかめた。


ぅわぁ、…と聞こえる感嘆のため息は見なくてもわかる、キラキラと愛くるしい輝きに満ちてるだろう。






澄みわたるような笛の音はどこまでも美しく、
庭中を漂う匂いはどこまでも甘く、


それは軽い眩暈を伴い、想像以上にチソンを苦しめた。















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