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HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

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【ホミンホ合同企画ミーアゲ(meeting again)】あなたが笑えば~最愛~その後33


































「はじめまして、」


一曲終え、振り向いた男をチソンは知っていた。


「貴方は、俳優の、…」


よほど芸能人に疎い人間じゃなければ知ってるだろう人気俳優が目の前にいて。
ああそう言えば少し前に突然の引退宣言で騒がれていたと思い当たる。





───この俳優が、天女なのか?



チソンは東神会と芸能事務所の繋がりを知らない。
勿論若くして小劇団を買い取ったガンソクがそこの看板子役だったユンソクと出会っていたことも。



確かに芸能人だけある。
洗練されたオーラとしっとりとした美しさはどうしたって目を惹く。
けれど、若くはない。


チソンは不思議だった。
どうして今さら自分よりひと回りも年上の男なのか。
ガンソクの刺青は昨日今日彫ったものじゃない。
ずっとこの俳優を想ってきて、引退を機にチャンスとばかり接近したのか。




チソンには自分は他の愛人達とは違うという自尊心があった。
体も心も疲れ果てたガンソクが最後に必ずやって来るのがチソンの店だったのだ。
店の写真を眺め、チソンが特別にブレンドした珈琲を飲む。 
時間があれば店を閉めて2階の自宅で心ゆくまでお互いの時間を共有した。
3年という月日はチソンにとって簡単に消せるものじゃない。
それが、…俳優?



芸能人への想いで刺青まで入れたのかとチソンは誤解した。
やくざと言っても表向きは大企業の社長なのだから、コネを使えば芸能人を紹介してもらうのだって容易いだろう。
もしかしたら自分へそうしたように、この俳優へもスポンサーとして出資しているかもしれない。
あの川べりの道は俳優とその後援者として歩いた道なのか。



“俺には才能を見抜く力があるんだ。”


ガンソクの言葉がチソンの脳内で渦をまく。
おそらく同じ言葉を言われただろう男を睨むように立ち、これから才能を開花させていく自分より引退し萎んでいく男を選んだガンソクへ苛立ちが募った。




それなのにユンソクはチソンの視線など気にせず、再び背を向け篠笛を鳴らした。
軽やかで優しい旋律がチソンの心をさらに粟立たせ、握ったこぶしがふるふると震える。
どうして、…と疑問ばかりが浮かぶ。
一目会うことができれば穏やかな気持ちで諦められると思っていた。
だが今チソンのなかにあるのは紛れもなく嫉妬心で、焼けつくように胸が痛いのだ。





「はぁ、…すごく綺麗で優しい音。なにか良いことがあったのかな、ユンソクさん。」
うっとりとした面持ちでチャンミンは隣のユンホに話しかけていた。
チソンはそれを背中で聞きながら耳を塞ぎたい衝動をなんとか堪える。
気づけば離れにはチソンとチャンミン、それとユンホだけになっていた。
ユンホがエナへハイルとソユンを連れて使いに出るよう頼んだのだ。
おそらくやって来るだろうガンソクを前にしてチソンがどんな態度にでるのかユンホは想像もつかない。
修羅場になるかもしれない。
そしてそれをチソンを慕うハイルやソユンへ見せないようユンホは配慮し、これからもチソンがハイルやチャンミンと交流を持ちたいと望むならそれもいいと思っていた。
ただチャンミンはガンソクとユンソクの過去を知っていて応援してるのだからこの場に立ち会う権利がある。
もしかしたらショックを受けるかもしれないが、ユンホはそれごとチャンミンを包み込むつもりで同席させていた。




「音色が何て言うか、…甘い気がする。ね、そう思わない?ユノ。」
そんなユンホの思惑など知らず、チャンミンはため息まじりでユンソクの奏でる篠笛に酔いしれている。
離れに居た頃より確かに甘さが加わったとユンホも感じていた。
小中学生のような触れあいでもこれほど艶が増すのだ、どれほど二人はお互いを慈しみ大切に想っているのだろう。
ユンホは隣にある手を握りしめる。
びっくりしたのか思いきり揺れたチャンミンに構わずさらに強く指を絡めた。



ひとりの人間をそれほどまでに愛した父へチャンミンを渡さなくてよかった。
諦めなくてよかった。


ユンホはしみじみ思い、そして決して簡単ではない覚悟を見せてくれた、隣で照れ笑いする子を泣かしたくないと強く思う。












「貴方が、…天女ですか?」



真剣な顔つきのユンホへつい見惚れてニヤニヤしてしまうチャンミンが一瞬でかたまってしまうほど、それは冷たく響いた。
え?と思わず聞き返したチャンミンへ返事はない。



「貴方が、ガンソクさんの愛した天女ですか?」



微動だにせず発せられる言葉にチャンミンは動揺しユンホへ視線を向けるが、ユンホはまるで動じることなくチャンミンへ大丈夫だと目線だけで伝える。
けれどチソンはハイルと一緒に偶然出会ったカフェのマスターで、店に飾られた素晴らしい写真を撮ったカメラマンで、そして気さくで楽しい兄のような人なのだ。
その人の口から出た名前にチャンミンは驚き、ユンソクを睨む別人のような人に驚いた。
チソンさんと言いかけて、チャンミンは言葉を飲み込む。
ユンホの絡めた指に力が入り、それは口出しをするなと言ってるように思えたから。






ユンソクの指が止まり、構えた肩が緩やかにおちる。
言葉もなく振り返りチソンを一瞥したあとユンソクは静かに居間へ戻ってきた。
先程まで聴こえていた優しい音色の余韻などなく、緊張感漂う空気がチャンミンは苦しくてユンホの手を外そうとするがユンホが離してくれない。



「チソンさん?貴方はなにを、…社長をご存知なんですか?」
優しい口調ではあったがおそらくユンソクはチソンとガンソクの関係に気づいたらしい。
ただの興味本意で聞いてくるにはチソンの眸は切羽詰まって今にも弾けそうなのだ。
「…僕は、…」
言い淀んだチソンへ、声を掛けたのはユンホだった。
目線がチソンの手に持ったトートバッグにとまる。
「チソンさん、持ってきてくださったんですね。出してもいいですか?」
「……、」



額から抜き取った四ツ切りの写真は色褪せもなく透明なフィルムに収まっていた。
どうして、コレを?
そう思ったのはチャンミンで、訪れるたびに変わる写真のなかで唯一変わらないこの写真をなぜ持ってきたのだろう。


ゴト、と鈍い音がして、それはユンソクの足元で転がりチソンとの距離を分けるようにとまった。
チャンミンはその篠笛を拾おうとしてユンソクの様子に驚き動けなくなってしまった。
「…どうして貴方が、此処を、」
ユンソクの声が震えている。
大切な写真なんだと、以前尋ねたチャンミンへこぼしたのはチソンじゃなかったか。




「チソンさん。今此処でユンソクさんの目の前で、貴方はその写真を破るべきです。」
淡々と言い放ったのはユンホだった。
「貴方と父を引き合わせた写真かもしれませんが、結局父が見ていたのは貴方じゃない。それを認めなければ前には進めませんよ。」
意識して抑揚なく話すユンホはどう見ても冷たい男に映るだろう。
自分でもそう思うユンホだが、下手な慰めや同情は今のチソンには邪魔になるだけだ。
ガンソクへさっさと見切りをつけて、友人とはいかないまでも純粋にスポンサーとして付き合うか、それができないならユンホ自身が自由になる範囲でチソンとスポンサー契約をする準備までしていた。




ユンホの真剣さが伝わったのかチソンは思いつめた表情で唇を噛みしめ目を伏せたまま暫くそのままでいたのを、
「っ、ユノっ!」
思わぬところから伸びた手がユンホの胸を叩く。
「チャンミン?」
「ひどいよ、ユノ!この写真をチソンさんがどれほど大切にしていたか、…それを破けだなんて、…」
「チャンミナ、…あとから説明するから、…今は、」
「説明なんていらない!っ、…この状況を見れば僕だって、…うう、…っ、旦那さまの馬鹿っ!」


ユンホの肩や胸をチャンミンのこぶしが何度も叩き、それを痛いとユンホは思わなかった。
痛そうなのは、チャンミンお前だよ。と、どんなときもガンソクへ暴言など吐かなかったチャンミンの悲痛な叫びにユンホは胸の内側が痛い。



「ぅう、…旦那さまの人でなし、…」


若い頃、お互いを想いあっても結ばれることなく長い年月を経てやっと近づいたガンソクとユンソクをチャンミンは応援していた。
一度だけ触れたガンソクの本音が自分を通して誰を見ていたのか、それはチャンミンが誰よりも知っている。



それでも。


ずっとチャンミンは不思議に思っていたのだ。
どうしてこの写真だけが大切にまるで宝物のように常に店の中央に掛かっているのか。
それを時々眺めるチソンの柔らかい表情。
大切な場所なんだろうとチャンミンは思っていた。
それが、ガンソクのユンソクとの思い出の場所だとは。



チソンの優しい眼差しが脳裏に浮かび、ユンソクの悲しい篠笛の音が思いだされる。
その行き場のない憤りをチャンミンはユンホへぶつけるしかなく、ユンホはそれをしっかり受けとめていた。






ふと影が動き、
あ、…と、チャンミンが声に出す間もないほど一瞬のできごとだった。


チソンが腰を折りつかんだ篠笛を床へ投げつけたのだ。
それは止めようと伸ばしたユンソクの手をすり抜けて鈍く嫌な音を鳴らした。


 


そして、コロコロと転がりチャンミンの足元でとまる。
一文字に亀裂の入った、ユンソクの篠笛が。

















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