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HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

【ホミンホ合同企画ミーアゲ(meeting again)】あなたが笑えば~最愛~その後47

































チャンミンはエナの離れにいた。
夏休みだというのに外出できず、バイトへも行けない。
掃除や庭の手入れをして勉強する、その空いた時間にチャンミンはエナを訪れ行儀見習いとして通っているソユンと共に過ごしていた。



「一枚の布っ切れが徐々に浴衣になっていくのってすごいですね。もうすぐ完成じゃないですか!」
エナに教えてもらいながら初めて縫った浴衣だが、それも完成間近でソユンはほっとしたように微笑む。
「最初は手縫いって聞いて気が遠くなりそうだったけど、縫ってみれば愛着がわくのよね。続けて自分のも作ろうと思って。」
うんうんと頷きながらチャンミンはソユンが裾の折り返しを縫う浴衣をじぃっと見つめ、紺の幾何学模様はやはり少しだけユンホのイメージとは違うなと思っていた。


そう、どちらかと言えばハイルに似合うんじゃないだろうか。


そう思うけど、勿論そんなことは言えない。
それなのに並み縫いをするソユンの手が時々止まり、意味もなく頬を緩ませている。
不思議に思ってしばらく見つめるチャンミンと目が合っては大袈裟にソユンは驚き、イタッと刺し傷を作ることになるのだ。



「…ソユンさん?」
ビクッとソユンが跳ねる。
「っ、ち、違うわよ!」
「……?」
チャンミンは何も言ってないのに、ソユンは勝手に焦りあわあわと手元がおぼつかない。
「ちょ、ちょっと採寸を間違えちゃっただけだから!」
なんの事だろうと黙ったままのチャンミンが責めてるように感じたのか、急にしゅんとしたソユン。
「浴衣は多少袖が短くても、…」
消え入りそうな声で呟くのを聞いてチャンミンはすべてに合点がいった。



「…もしかして、… その浴衣ってハイル兄?」


浴衣のサイズなんてチャンミンはよくわからないが、ユンホでは袖が短いと言うならハイルを思って縫ったのだろう。
その証拠にソユンの顔が山火事のように真っ赤で思わずチャンミンはふきだしてしまった。
「っ、もう!チャンミンくん!」
むくれるほどに赤くなるソユンをチャンミンは心底可愛いと思う。
おそらく秘めたハイルの想いがソユンへ届いて実ったのだろう。
ユンホとの婚姻を忘れてしまうほどソユンの顔は幸せに満ち、チャンミンまで嬉しくなってくる。



「さあ、チャンミナのが完成したよ。」
それまでチャンミンとソユンのやり取りを素知らぬふうに黙々と縫っていたエナが白地の浴衣を大きく掲げた。
「ぅわぁ、…///」
白の無地に一筆描きではらいを入れた模様が変わっていてチャンミンは一目でそれが気に入った。
そしてエナの足元に何気なく置かれた生地。
それをチラッと見やりチャンミンはすくっと立ち上がる、そして「試着してもいいですか?」とおもむろにシャツのボタンへ指をかけた。




ソユンは突然脱ぎはじめたチャンミンに驚きながら、それでもシミひとつない綺麗な背中に視線がくぎづけだった。
するっとシャツを落とし浴衣を羽織る。
背が高く細身のチャンミンにその浴衣はとても映え、大人びてるのに無垢な、妖艶でいて可憐な不思議な魅力を醸しだしていた。
そして振り向いたチャンミンにソユンは小さく声をあげる。
しっかりと帯を結ぶ前の緩めた衿元。
いつもはTシャツに隠された、鎖骨へ伸びる首筋のラインがとても綺麗で。
「チャンミンくん、…」
ため息にも似た声と共に、ソユンの視線がある一点に注がれている。
「あ、…それは、」



それは、──色鮮やかに踊り跳ねる錦鯉と寄り添うように咲く濃淡の桜。



ソユンはそれ以上言葉がでない。
ヤクザの家に育ち刺青など常に目にしてきたソユンだが、チャンミンと刺青があまりに不似合いで驚いたのだ。
「ソユンさん、…これは、」
ソユンの視線をたどるようにチャンミンの指が静かにそこへ重なる。


「これは、ソユンさんが例えユノと婚姻の形をとろうと、…変わらない、僕の気持ちです。」



だからソユンさんも組の事情に逆らえないまでも、自分の気持ちを後ろめたく思うことはないとチャンミンは伝えたかった。
その為に誰にも見せないようユンホから言われていた刺青を敢えて晒したのだから。
跡継ぎさえ産めばソユンは自由になる約束で、なにもユンホへ貞淑を誓う必要はないのだ。


「てっきりハイル兄の片思いだと思ってて、…よかった。本当はソユンさんが本気でユノを好きになっちゃったらどうしようって思ってた。ユノの体だけじゃなく心まで欲しくなったらって。」
伏し目がちに、それでいて背が低いはずの自分を上目遣いに見てくるチャンミンへソユンは照れくさそうに笑った。
ひとことも言ってないのにハイルとのことがバレてしまった気恥ずかしさとそんな自分の行動に。
そしてあれほどユンホから愛されながら心配に思うチャンミン、…ああ、違う、心配なのはユンホの愛ではなく、どれほどユンホを愛してしまっても報われないソユンをチャンミンは心配したのだとソユンは気づいてしまった。



「チャンミンくんはユノさんに愛されてる自信があるのね。だから跡継ぎを産むだけの婚姻なら喜んで賛成できるの?」
そう言ったソユンへチャンミンは静かに笑う。
それは肯定とも否定ともとれず、それでもソユンは言いたかった。
自分は好きな人がいて、その人以外の子供を産みたくない。
チャンミンへ訴えて何が変わるものじゃないし、逆にチャンミンを苦しめるかもしれない。
それでもソユンはもう黙っていられない。


好きなのだ。
組同士の約束ごとで決められた魅力的な男性よりも、情けないほど不器用で目の離せない男が。




ソユンが口を開きかけたその時、慌ただしく廊下を走る音がした。
「っ、ちょ、ちょっと待ったぁぁぁっ!」
勢いよく襖が鳴って、エナに乱暴にするなと叱られる。
一瞬だけあらわした反省の色もあっという間に霧散してハイルの焦った顔がチャンミンの目に前にあった。
「っ、…ハイル兄?」
今の会話が聞こえたとは思えないのに何をそんなに焦っているのか。
ハァハァとハイルの息が荒い。
「ここの様子が庭先からチラッと見えて、…ハァハァ、チャンミナ、なんで浴衣をはだけてんの?ソユンを誘惑してるつもりかよっ、」




「「…は? 」」


と、それはチャンミンとソユン同時に。



せっかく収まってきたソユンの顔色が今度は怒りの赤になる。
「あ、あんた!っ、…ばっかじゃない?よりによってチャンミンくんが私を誘惑?はぁーーー、っもう、バカバカ!」
両手を振り上げ怒るソユンに対しハイルは至って真面目な顔だ。
「チャンミナ!俺、…俺、ソユンをユノ兄へ渡せない!だから決めた。俺、ユノ兄と戦うっ!」
「は?…た、戦うって、…」
ハイルが部屋へ入ってくると同時に衿元を合わせ刺青を隠したチャンミンだったが、ハイルがぎゅうぎゅうと衿を掴むから見られるんじゃないかと気が気ではない。
そのうえ物騒なことを言い出したハイルにチャンミンは戸惑いしかない。




「ハイル兄、落ち着いて。」
なんとか宥めようとするチャンミンだがハイルは聞く耳を持たず、今すぐにでもユンホのもとへ殴り込みにいく勢いだ。
ばかばか!とハイルの背中を殴るソユンも怒っているのになんだかとても嬉しそうだ。
「跡継ぎが必要なら、っ、俺がなる!ユノ兄に敵うとは思えないけどがむしゃらにやってやる!」
「…ハイル兄、…」
絶対に無理だ無理だ!と投げやりに吐き捨てていたハイルをチャンミンは知っている。
それなのに、この変わり様。


なにがなんでも欲しいと、
そう言いきれるハイルがチャンミンは心底羨ましい。


「っ、もしかして俺が無理でも、…大丈夫。俺がソユンと跡継ぎを産んで、責任をもって立派な男に育ててみせるから!」
ハイルの勢いはとまらず、冗談で言ってるとは思えない驚くほど真剣な表情で。


それなのに思わずチャンミンは笑ってしまった。
なんだよっ!と叱られても、可笑しくて、そのうち涙がでるほど肩が揺れる。


「チャンミナ?…泣いてんの?」
「っ、…だって、」



可笑しくて。


「ハイル兄、…自分が駄目でも子供って、…本当がむしゃら過ぎて。男の子が産まれるとは限らないのに決まってるみたいに言うし、…ふふ、」


欲しいものは欲しいと、なりふり構わず言えるハイルが可笑しい。
可笑しくて可笑しくて、チャンミンの体が小刻みに震えぼろぼろとどうしてか涙が溢れる。



「え、ちょっとチャンミンくん?」
うつ向き垂れた前髪の先からぽたぽたと落ちる滴にソユンは驚きチャンミンを覗きこむ。
どうしてチャンミンが泣いているのかソユンにはわからない。
けれど心配そうにチャンミンの背を撫で、ハイルへ振り返った。
「っもう!誰があんたと男の子を産むって言った?そうやってさりげな~く逃げるのサイテー!」
「え~!いいじゃん、もう仕込んだことだし。」
「っっ!///さ、さ、さいてーーーっっ!」


アハハと屈託なく笑うハイルとさらに真っ赤なソユンのやり取りにチャンミンもつられて赤くなり、そしてプッと吹きだし本当に笑ってしまった。
つい先日長年の初恋を実らせやっと結ばれたらしい大人がいるというのに、その息子はなんて手のはやいことだと笑ったのだ。







そして、あー、…と遠慮がちに入ってきた人。
そこには本来こんな真っ昼間に来ることなどない人が決まり悪そうに腕組みをして立っていた。


「ユノ!」
チャンミンの声に全員の視線が集中する。
「伝えたいことがあってハイルを探してた。それにしても、あー、…先を越されちゃったな、」
ユンホは困ったように笑って、そして真っ直ぐチャンミンのもとへ進んだ。
ハイルが掴んでいた手を片手ではらい、チャンミンの衿元をくっと直す。
「チャンミナ。俺が言いたいことはハイルが言ってくれたようだし、…な、お前は?」
「ユノ?」
チャンミンの頬をふわりとユンホの手が覆い、焦れるほどゆっくりと引き寄せ近づいてくる。



「ハイルは俺を倒してでも跡継ぎとして認められるか、息子を産んで立派な跡継ぎにするらしいぞ。勢いだけはまるで親父に逆らった少し前の俺だな。」
ふっと笑った息がチャンミンの鼻頭を擽る、それほどの近さになっていた。
「ん、…僕は、…」
「ああ。チャンミン、お前は?」
ハイルがいてソユンやエナもいる。
それなのに擦りつけられた鼻先が、愛おしいと何度も何度も言い聞かせるようで。



チャンミンのずっとずっと奥底に閉じこめた思いが溢れだす。
ハイルの勢いがあった。
ソユンの満ち足りた笑顔があった。
エナの用意した色違いの反物。
白地に黒の模様と黒地に白の。
誰のものか言われなくてもわかる、そんなエナの思いもあった。




「ユノ、…僕は、僕だけのユノでいてほしい。ユノが本来持てるはずの幸せを僕が潰すのは申し訳ないけど、…それでもやっぱりユノが誰かを愛すのはツラいよ。っ、…っく、…ひっく、…ぅぅ、ユノ、…僕だけでいて、」


チャンミンの嗚咽まじりの声は最後ユンホの肩に埋められ、ユンホのシャツをビショビショに濡らしてもそれが離されることはなかった。
はぁーーっ、…とユンホは長い長いため息を漏らす。
ぎゅうっとチャンミンを掻き抱き、やっと貰えたチャンミンの本音にユンホは心の底から安堵し目頭が熱くなるのを止められない。

 



そして、「ハイル」と真剣な表情で振り返り。
「跡目襲名披露の日取りが決定した。」と、そう告げた。
















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