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HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~最愛~夏祭り2
































「夜分遅くに悪い。」


あらかじめ電話で聞いていたものの、やはり深夜に訪ねられるのは歓迎できない。
悪いと思うなら大人しく帰ってくれたらいいのにと思いながらエナは玄関の戸を開けた。


「あと数時間もすれば勝手に起きて勝手に帰るんですから、何も今迎えに来なくても、…」
本来長年仕えた組のトップに立つ男へこんな口の利き方、ひと昔前ならエナの指が飛びそうだがどうも昔からの癖が抜けず気安い口調になってしまう。
「ん、…貰い物だけど、コレ。」
けれど決まり悪そうに口角をあげる男が、どれほど力を得てもまるで変わらない態度なのもいけない。
「…ユンホ坊っちゃん。すぐ私を饅頭で釣るのはやめてもらえませんか?」
呆れたようにエナがため息を吐けば、目の前の高級そうなスーツを身に纏い益々風格を漂わせるようになったユンホが昔と変わらず声に出して笑う。



「そういやエナさんを何度かキッチンで寝かせてお詫びに饅頭を持ってったよな。」
「そうですよ。ユンホ坊っちゃんの暴走には困ったもんです。今夜だってわざわざチャンミンを迎えに来る必要なんてないのに、」
ブツブツ言うエナの脇をユンホは笑いながらすり抜け、自分が寝て起きればチャンミンが帰ってると知っていても今連れ帰るのは変わらないと態度で示した。
「はいはい、わかってますよ。」
エナだってそれは知ってるが、夜中に起こされた文句のひとつやふたつくらい言わせてほしいのだ。





ふとユンホを見ると居間の壁に掛けられた浴衣を見ているのにエナは気づき。
「チャンミン、それはもう楽しみにしてますからね。」
大袈裟じゃなく本当に指折り数えるほど楽しみにしているからそのまま伝えた。
ああ、とユンホは頷き、「1年越しの約束だからな。」と白地に一筆描きではらいを入れたシンプルなのに目を引く浴衣を眺める。
そしてその隣に掛けられた黒地に白の浴衣、それを満足そうに手に取った。
「楽しみにしてるのはチャンミナだけじゃないよ。」と言いながら。





ぐっすり寝入るチャンミンを何が嬉しいのか口元を綻ばせながら眺めるユンホへ、エナは最近夜になるとユンソクが奏でる篠笛の音が聴こえてくることを話した。
それは、「最近チャンミンがエナさんのところへ足繁く通うのは何故だろう。」というユンホの問いに対する答えだろうか。
本宅の奥まった中庭からユンホの離れは遠すぎて笛の音は聴こえないが、此処なら多少なりとも聴こえるはずだ。
「しかもチャンミンときたら此処へ漏れ聴こえる笛の音だけでは飽き足らず、最近では本宅をぐるっと回ってコソコソと中庭を覗きに行っちゃうんですよ。」
「あー、…」
「まぁ、誰にも気付かれてないと思ってるのは本人だけで、旦那さまもユンソクさんも分かってて敢えて手を出さないよう護衛のものに命じてるようですけどね。」
「あ、ああ、…ったく、」
分かっているなら中庭へ入れてやればいいものを、必死にコソコソするチャンミンを面白がってると言うのだからガンソクも人が悪い。
今度会ったらひとこと言ってやろうと思いつつ、ユンホはチャンミンを抱きかかえようとしてふと枕元へ目線をやった。
「コレ、…」
「あー、…本宅を覗くのに変装しなきゃって、チャンミンが、」
「……」
「覚えてます?むか~し、ユンホ坊っちゃんがチャンミンへ土産だって買ってきてあげたものですよ。」


勿論ユンホは覚えていた。
その昔チャンミンを愛人にすると決めた父がそれまでの教育以外は余計なことをするなと命じるまま、ユンホはチャンミンを屋敷の外へ連れ出すことはなかった。
夏祭りも例外ではなく、遠くで聞こえる花火の音とそれに反応するチャンミンを避けるようにしていた自分を思うと今でも胸が痛いと言うのに。



「こんな何年も前にたまたま見かけて買ってきたものを未だに持っていたのか、…」
「それほど今年の夏祭りを楽しみにしてるんですよ。可愛いじゃないですか。」


可愛い、なんてそんなこと言われなくても。
ユンホは大学生時代に偶然通りかかった夜店で見つけたソレを手に取る。
なぜかチャンミンを思い出して買ってしまったのを、確かジノに呆れたように笑われた記憶がある。
今も昔も変わらない。
きっとジノには誰に買ったかなんて言わなくてもわかっていたのだろうとユンホは思う。



でも、──と言って、ユンホはプッとふきだした。


「8歳のチャンミンならまだしも、高3になってコレで変装?」


そう言いながら、
ああ、でも可愛いかもしれない。と思わず緩んだ頬を、気づけばエナが満面の笑みで見つめていて。


「高校生男子でバンビのお面が似合うなんてチャンミンくらいでしょう?」


当然のように言うエナへ、ユンホは擽ったい思いを隠すようソレをチャンミンの浴衣へ引っ掛けたのだった。








高校生になって随分背が伸びたチャンミンをユンホは軽々と抱き上げる。
大丈夫ですか?と慌ててかけ寄るエナへ、「慣れてるから。」とユンホは至極当然のように。
チャンミンの長い手足はユンホの腕に収まりきらないが、背中や膝裏に回した手がなんとも自然で、チャンミンも無意識なのかユンホの胸へ安心したように体を預けていた。




エナの住む離れからユンホの離れまでは歩いて数分。
明かりの消えた本宅を横目にユンホはゆっくりと歩いた。
昼間の暑さが嘘のように頬を撫でる風は涼しく、朧気な月明かりがチャンミンの寝顔を照らす。


「寝顔は子供の頃と変わんないなぁ。」
ふっと笑って鼻先を近づけた。
微かに聞こえる寝息を撫でるように鼻先を擦って唇を合わせる。
いつまでたってもチャンミンが男臭くなることはなく、瑞々しい若さは艶やかなままだ。
「もうすぐ俺は30になろうというのに、チャンミナ、お前はまだ十代が続くんだな。」
ユンホの独り言はめずらしく弱気で、それは最近さらに住む世界の違いを肌で感じるからなのかもしれない。



「受験が終わったら、思いきり羽を伸ばしたらいい。急に世界が広がって俺とのことを後悔する日がきたら、…大丈夫、いつでも兄に戻ってやるからな。」
まるで自分を言い聞かすように囁いた小さな呟きはユンホの本心でもあり強がりでもあった。
チャンミンの未来が明るければ明るいほど、そこへ放り込んでやる度量をほんの小さなひと欠片でも心の片隅に残さなければならない、──というユンホの痩せ我慢は、


「っ、痛っっ!」


ぎゅうぅぅと捻られた頬の痛みで霧散した。
そして目の前には大きな眸を真っ赤にしたチャンミンが最近ではめずらしく怒りをあらわにユンホの頬を捻ってくる。


「チャンミナ、…っ、痛いって。お前、いつの間に起きたんだ?」
「っ、うるさい!ユノの馬鹿!!そんなこと言うユノなんて嫌いだ、離してよ!」
威勢よく降ろせと暴れるくせにユンホの首へ回した腕を一層力強く引き寄せるからユンホはチャンミンを落としそうで焦ってしまう。
「っうう、…ひどい、ユノ。今の言葉を取り消さなきゃ一生降りてやらないからっ!」



降ろせと暴れたり、一生降りないと凄んだり。
言ってることが無茶苦茶だ、とユンホは思うけれど、そんなチャンミンにどれほど自分が救われているか。



「チャンミナ。ユンソクさんの篠笛が聴きたきゃ堂々と正面玄関から訪ねて行きな。俺も話しておくから。」
「っ、そんなこと聞いてない!」
「…だから、」
「ユノ!」
今にも溢れそうなしずくがゆらゆらと揺れ、ユンホはそれを綺麗だと暫し見惚れた。
幾つになっても純粋で真っ直ぐ自分へ向かってくるチャンミン。
ユンホは自嘲ぎみに小さく笑い、もう何年もチャンミンの宝物として大切にされている百人一首の句をつぶやく。



「かくとだに えもはいぶきの 
さしも草 さしも知らじな もゆる思ひを。」


いきなり句を読むユンホをチャンミンは目を丸くして眺める。
ぽっかりと口を開け、涙も完全に引っ込んでしまった。


「──うっ、…ずるい、ユノぉ、…」


けれど再び溢れた涙はどうにも止まりそうになく、チャンミンが遠慮なくユンホの肩へ顔を押しつけるからユンホの決して安くはないスーツはチャンミンの涙と鼻水でぐっしょりと濡れた。
そんなことも嬉しいのだから、ユンホはどれほどチャンミンへの想いを熱く燃やしているのだろう、…なんてことを思う。


同時に二度も短歌にのせて告白してしまう自分が恥ずかしくもあり。


「…チャンミナ?起きてるなら歩こうか、」
照れ隠しでわざと素っ気なくチャンミンを降ろそうとするが、チャンミンがそれを許すはずもなく首が絞まるほどの勢いで腕を回されればそのまま離れへ戻るしかなかった。






その間チャンミンはユンホの腕のなかで何度も句を反芻していた。
“これほどまであなたを想っていると打ち明けられずいるのですから、伊吹山のさしも草の燃えるように、私の心があなたへの想いに熱く燃えている事をあなたは決してご存知ないでしょう”
この情熱的な句を頭で繰り返しては赤くなり、ユンホに聞こえないくらいの声で詠んではデレデレと口元を緩めた。
そして離れに戻ったらその札を枕の下へ敷かなくてはと嬉しくて堪らない。





そんな二人を、とうに雨もやんだ夜更けの東の空で下弦の月だけが見ていた。



                                                                                                                                                               



*********************


おはようございます、えりんぎです。




かなりお久しぶりの更新でしたが、沢山の方が見つけてくださって拍手やポチやコメントや。
ちょっとビックリで感激でした。
ありがとうございました。



最近のチャンミンって男らしいじゃないですか。
以前の照れちゃってユノへすべてお任せのチャンミンとは違う。
素晴らしいカメラアピールだったり、ステージでの煽りも堂々としちゃって。
逆にユノが、前から天然さんでしたが、さらに天使さ加減がとまらないというか、、、



けれど、ときど~き垣間見られる壮絶に雄っぽいユノだったり、ヒョン全開ユノだったり。
そして男らしいけど、儚げな美しさを忘れちゃいないチャンミンだったり。



そんなのを一つ一つ拾い集めて妄想してます。
きっと私の《ホミン観》は変わんないですね。




そういう感じでお読みください。
いつもありがとうございます♪




では!











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Comment

point Re: めちゃくちゃ嬉しい!!

名無しさま。

ひゃ~、興奮が伝わってコチラこそ光栄です。
読み返しもとても嬉しいです。
まだ極道話の2人が脳内をウロウロしてますので、短編を。
またしばらくお付き合いくださいね♪
コメントありがとうございました。

2018/08/16 (Thu) 18:16 | えりんぎ★★ #- | URL | 編集 | 返信

point Re: お久しぶりです🙆

ラ**さま。

お久しぶりです!
ラ**さんもお変わりありませんか?
少しずつ暑さは弱まりましたが、雷雨が局地的に猛威をふるってますね。
私も相変わらずの話ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。
コメントありがとうございました♪

2018/08/16 (Thu) 18:13 | えりんぎ★★ #- | URL | 編集 | 返信

point 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/08/16 (Thu) 02:27 | # | | 編集 | 返信

point 管理人のみ閲覧できます

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2018/08/15 (Wed) 20:23 | # | | 編集 | 返信

point Re: 早々更新ありがとうございます

ち*さま。


今回は隔日更新するつもりなのでヨロシクです。
チャンミン、まっちょで男らしいんですけど、でも一歩引いた謙虚さはしっかりそのまま。
子供っぽいのではなく、瑞々しい若さは美しいとしかいいようがありません。
ユノを見守るスパダリとみるか、
ユノを立てて控えめにフォローする良妻ととるか。
ホミンホの分かれ目ですねぇ~(* ̄∇ ̄*)

2018/08/15 (Wed) 12:28 | えりんぎ★★ #- | URL | 編集 | 返信

point Re: 楽しみ〰️

ne**さま。

なかなかスムーズにはいきませんが、最終的にほっこりになるんじゃかいかと。。。
この話で書いてるようなシンプルな色違い浴衣を是非是非ホミンカップルに着てほしーーーデスヨネ?(〃∇〃)
コメントありがとうございます♪

2018/08/15 (Wed) 12:15 | えりんぎ★★ #- | URL | 編集 | 返信

point 管理人のみ閲覧できます

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2018/08/14 (Tue) 23:25 | # | | 編集 | 返信

point 管理人のみ閲覧できます

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2018/08/14 (Tue) 09:23 | # | | 編集 | 返信

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