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HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

Baby don't cry51

































神父さまを父親のように慕っていた。
母をひとりで逝かせた実の父なんかより、神父さまの方が余程親身になって幼い僕や病に伏した母へ尽くしてくれたのだ。


幼子を抱え苦労したであろう母の安らかに眠る姿は今でも僕のなかにある。
ああ、──そういうことか。


母が何より守ろうとしたもの、それを僕も守らなきゃならない。




「ユノさん、帰りましょう。」
中途半端に出入口を塞ぐ人へ声をかけ、コートに袖をとおす。
軽くうなずくだけの返事を返す人は、いつこの真実に気づいたんだろう。
僕と神父さまは確かにタイプは似てるもののそれほどそっくりというわけじゃない。
それを自信満々に確信したり、初対面の神父さまのホクロにまで目がいくとは、さすが僕のうなじにいきなりキスマークをつけた男だ。
けれど、だからこそ僕との関係で一線を越えたのだと思えば、引く手あまたの遊び人が誠実な男のように思えてしまう。




いや、訂正。
ユノさんは誠実だ。
そしてそれは僕にだけ与えられた特権なんだ。









チャンミナ、と聞こえて、振り向けば先ほどとまったく体勢を変えず座る神父さまがいた。
祈るように組んだ両手まで一緒だ。


「さっきの話、…いや、事情が変わってきたな。とにかく、一緒に住まないか?」
そう言うだろうと予想したそのままに神父さまは真剣な眸で。
でも僕は。
「いえ。神父さまはもうずっと僕の父親であり、施設の子供達全員の父親じゃないですか。これまでそうだったように、これからもそれは変わりません。」
これは強がりでもなんでもないんだ。
戸籍謄本の父親欄はこの先もずっと空欄のままだけど、僕の心の中にだけそっと記載された名前。
それがこんなにも僕の気持ちを満たすなんて。






再び、“母を愛していましたか?”、と尋ねた僕へ、
神父さまはゆるりと首を振る。
「…今も、愛してるよ。チャンミン、お前のこともだ。」
そんなこと言われたら、今度こそ僕は泣いてしまいそうだ。
唇を噛みしめ、強張る体にぐっと力をいれる。
ざわざわと胸元を何かがせりあがる。
喉が塞がって呼吸が苦しい。
そのうち視界がぐにゃりと歪んだ。



「…もう、いいぞ。」
さらに強張った肩先をふわりと長い指がたどり、優しげな声が降ってくる。
「ユノさ、…?」
「ん、…もう泣いていい。我慢するな。」
「うっ、…さい!我慢なんてっ、…」
と、睨んだ拍子にぼろっと一粒。
でもこれは、悲しいんじゃない。嬉しいんだ。




そしてそのままユノさんは、神父さまへ一礼した。
どういうつもりかと、…そう思うほどに深い。
角度をつけた真っ直ぐな背中がキレイで、しばらく静止し戻した眸が僕を見据えニコリと笑う。
ついつられて笑った僕をユノさんは了承と取ったのか。



「神父さま。チャンミンがこちらヘ引っ越すことはありません。そして祖母の養子になることもありません。」



「なぜならチャンミンはチョン・ユンホと養子縁組して、俺の養子になるからです。」


「は、は、…はい??」
「はは、チャンミナ、驚きすぎ、」
「ユ、ユノさ、…っ、だって、」



僕だけじゃない、
神父さまも、
ユノさん、アンタの父親だって目を剥いてるからな!












という爆弾宣言を落とすだけ落とし、ユノさんは僕を引きずるようにしてマンションまで帰ってきた。








「どうして怒る?祖母さまじゃないが、俺の養子になれば教会や施設への寄付をこれまでと比べようもないほど自由にできるぞ。」
「だって、…っ、勝手すぎっ、」
「勝手なもんか。お前の戸籍の父親欄へ名前を入れたい。」
「は、はい?」
ちょっとユノさん、名前があれば誰でもいいってもんじゃないぞ、と思うけど。



ぽっかり開いた僕の口へ狙ったように口づける人の気持ちが嬉しい。




「ああ、でも祖母さまと違って俺は仕事には厳しいからな。当初の予定通り、業績をあげれなければあの店の閉店は免れないぞ。」
「そんなのっ、…当然。僕は何があってもあの店を守ります。ゆったりとした時間が流れる癒しの空間を、口の中で蕩ける小さな幸せを、絶対に守ってみせます。」
「は、どうかな。次の外販で初回を上回らないと苦しいからな。」
「わかってます。次回は僕が万全の態勢で臨み、前回のような商品が無くなるという売り逃しはしません!」


という会話を、一ミリの隙間さえ無いほどの距離でしてる僕らはおかしいだろうか。


「ほんと、…はぁ、…生意気な店長だな。」
と、ため息混じりに僕の耳朶を甘噛みするから、
「貴方こそ、…ん、っ、オーナーらしくもっと社員を信用したら、っあ、…どうですか。」
僕はユノさんの脇腹へ指を侵入させる。
くすぐったいのか「っう、…」なんて、鼻にかかった声が色っぽくて。
そこで、「ソジュンが仄めかしてきた“効率を更にあげるソフト”って、そう言えば何のことだ?」とか、急に現実的な話はやめてよ。


ってか、それって、


「それ、…ソジュンが?」
「ああ、そんなに効率化を図るソフトなのか?ソジュンはチャンミナが持ってるって、」


あいつめ、僕が捨てると言いつつデスクの奥深くへ片付けたのを知ってるな?



「わっ、」
ボスンと二人してソファーへ墜ちる。
男二人の重みを低反発ウレタン素材のソファーは難なく受け止め、充分な広さでくつろぐように僕らは重なった。
「ソジュンもずいぶん在庫管理に慣れてきたから、正確で手間のないソフトなら使えばいいんじゃないか。」
「ん、…や、…ユノさんが良ければ、っ」
口ではソジュンソジュンと言いながら、ぐいぐい押しつけてくるユノさんの腰は何を言いたいんだろうか。
「ん?なんで俺?」と言いながらユノさんは僕のシャツを開き胸の突起へ舌をはわす。
その弾みで僕が言いかけた“ソジュン”は中途半端に鼻から抜けて、そんなヘン声僕の方が恥ずかしいのに、「そんなふうにソジュンをよぶな。」とはあんまりじゃないか。



 


面白みの無い僕の上半身に夢中な人を、親が子供にするように腕を取り袖を引いて脱がせてゆく。
背中を撫でて、柔らかい髪を撫でた。


ああ、愛しい。
触れる箇所すべてに愛しいが詰まっていて、僕の胸が許容範囲を越えてしまいそうだ。




「寝室は俺と一緒でいいか?それとも隣をチャンミン専用に改装しようか。」
急にそんなことを言い出したのは、ほぼ全裸の僕による連想ゲームだ。
それに養子縁組は決定なんだと笑ってしまう。
「なに言ってるんですか。僕の寝室はもうあるでしょ。」
数ヵ月と言えど何度も気を失うように倒れ込んだ、僕の慣れ親しんだ寝室。
「あれはゲストルームだろ。あんな部屋では寝かせられない。」
「っ、あんなとは失礼な!そもそも僕は宝くじに興味はないんだ。上流階級の付き合いとか、ぜったいゴメンですからね!」
ピリッと固い空気はそれこそ慣れっこだから、
「まあいい。部屋割りは追々だな。」
さらっと躱すすべも僕らは随分上達していた。




合わせた唇を擦りあうように、やがて深く、もっと深く。
舌を絡めながらユノさんの手が右往左往する。
これ?と渡したクッションに、ユノさんの親指が持ちあがった。
それの行方はきっとここだろう、と浮かせた腰へストライク。
ああ、ユノさん。
舌の動きと指の動きが連動しすぎて、同時に聞こえるぐちょぐちょと掻き回す音がいやらしすぎだよ。


なんていう羞恥も、
「この前の良さでお願いしまぁす。」
「お前な、っ」
きっと二人なら楽しめる。








「家は兄貴が継ぐから、…だからチャンミン、お前は俺の養子になって、ずっと一緒にいよう。」
「ユノさん、」



「二人で一緒の墓に入ろう。」




なんてそんな夢みたいな話。


親も兄弟もいない僕が、
この短期間ですべてを手に入れてしまったような、


そんな、この上なく幸せな僕らの。












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