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HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

紅-クレナイ-の人15


































新曲に先がけてのプロモでメディアへの露出が増え、それに併せてテレビ局前をファンが占拠する所謂出待ちが日を追うごとに増えていく。
ファンが増えるのは嬉しい反面、その恐ろしいくらいの熱狂に脅えてしまう。
目が眩むようなフラッシュの光とつんざくような嬌声に足が竦んで動けなくなりそうだ。


「チャンミン、立ち止まるな。前を見なくていいからゆっくり歩くんだ。」
ユノさんの手が僕の背中へ添えられ歩幅を合わせて抱き込むように。
ひときわ甲高い声に僕はビクッと跳ねて動きを止め、そんな僕へユノさんはさらに身を寄せる。
まるで自分の体で僕の耳を塞ぐような近さだ。
四方八方から僕へ向かって伸びる手をユノさんはするりとかわし、そのたび重なる体に僕の心臓はうるさいくらい高鳴ってしまうと言うのに。
「大丈夫か?」
「あ、…は、はい、」
大丈夫だけど、…大丈夫じゃない。
押し寄せる人の波が襲っても、なぜだろう、…ユノさんの隣で妙に安心しきってる僕がいて。
それなのに耳元を擽るユノさんの息遣いに平静ではいられない僕がいる。
このままではのぼせてしまいそうで、玄関を入ってすぐユノさんと距離を取る。
「わっ、」
一旦離れた体を戻すように引かれたら、足が縺れてそちらの方が危ないじゃないか。
トン、と僕とユノさんの肩がぶつかって、「おまえ、…俺に渡すものないの?」なんて耳元で。
意味が分からずキョトンとする僕へ、ユノさんは意味深な笑みで「勝手に貰うからな。」とひとりで結論づけて行ってしまった。


警備員と話すユノさんの背中を眺めながら突然ハッと思い当たる。
慌ててバッグの内ポケットを探るけど、…無い。
あれは渡すつもりじゃなかったんだ。
後悔しないと決めたはずが、未だに戸惑いを見せるあの人にチクチクと胸が痛くて。
“あなたは忘れていいけど、僕は忘れない”なんて、そんな宣言できるはずもないのに。
ひどいな、ユノさん。
勝手に貰う、とか、僕が誤解するような言い方はよしてほしい。
昨日あんなキスシーンを見せつけて、僕がどれほど落ち込んだか知りもしないくせに。


「警備を増やしてもらえるよう依頼してきた。それとも道を閉鎖してもらうか、…どちらにしてもあれじゃあ怪我人が出る。」
あの近さでエスコートするのがこの人の常識とばかり冷静な態度が面白くなくて。
「…どうした?大丈夫か?」
心配そうに覗きこんでくるユノさんの、僕の肩へ置いた手を払いのけた。
「大丈夫ですってば。」
大丈夫じゃないよ。だってこんなにも胸が痛い。
「そうか。ストーカーの件もあるし、どこで接触してくるかわからないからな。嫌かもしれないが外では密着して守るけど気にするなよ。」
「……。」
大人だな、ユノさんは。
あんなことがあっても何でもないように僕へ触れるんだ。
あのメモ書きだってユノさんにとって大した意味なんか無くて、こうして会話してる時点で完結してるのかもしれない。
「…そうですね。ストーカーが妬いちゃうくらい密着したら、今度はユノさんが標的になっちゃうかも。」
ふっと笑って軽口をたたく。
まさかそれが現実になるだなんて、僕は予想もしなかった。



数日後、それは数枚の写真と共に知らされることになった。
「これは、…」
聞かなくてもわかる。
大勢のファンに囲まれ、潰されそうなところをユノさんに守られて移動する僕だ。
「実は例のストーカーらしき人間から事務所へ送られてきたんだ。こうやって写真で撮るとかなり妖しい二人連れのようで俺なんか笑っちゃったけどな。」
可笑しそうにドンジュさんが広げた写真はどれも僕とユノさんのぴったり寄り添ったものばかりで、見てるこちらが恥ずかしくなるような写真だった。
「くく、まるで恋人同士だろ?」
ふざけるドンジュさんの隣で僕はうまく笑えず苦笑い。
ユノさんは写真をひっくり返して何やら調べてるようで、まるで動じない態度が仕事に徹してると言えばそれまでなんだけど、僕は少しだけ寂しい。
「それで、…」
これまで笑っていたドンジュさんが急に真剣な面持ちでユノさんへ視線を向けた。
「写真と一緒にメッセージが入ってて、…」
「なんて?」
「『チョンユンホを許さない』ってさ、」
ドクンと心臓が跳ねる。
僕の冗談がそのまま現実になってしまった衝撃と恐怖に。
けれどそんな僕に構わずユノさんは小さく吹き出し愉快そうに口元を緩めた。
「っ、ユノさ、」
「ストーカーのチャンミンへ向ける執着が少しでも俺に向けられたら、この作戦は成功だな。」
「え?」
耳を疑った。
何者にも僕へ触れさせないと、巻き込むように抱き寄せた腕はわざとだったの?
ストーカーを挑発する為に息遣いさえ頬にかかる距離で僕を守ったと?
「妙に距離が近いと思ったらそういうことか。まぁでも、ユノ、おまえも気をつけろよ。」
「ああ、でも俺へ何か仕掛けてくれたら願ったり叶ったりだろ。」
談笑する二人に囲まれ僕は笑えそうになく、ひくつく頬を持ち上げるのに必死だった。
のぼせるほどユノさんの感触に一喜一憂した僕は馬鹿みたいだ。


自然と俯きがちになる目線がテーブルに置かれた写真へ移る。
これが恋人同士のようだと言うなら、それは僕のせいだ。
こんなに安心しきってユノさんへすべてを預けるような表情。まるでピエロじゃないか。
「チャンミン」
ユノさんに呼ばれふと目線を上げると、さっきまで笑っていたユノさんがいつの間にか真顔で。
「仕事じゃなきゃ、…冷静に触れられないだろ。」
なんて切なげに眸を細めて呟いた。


その意味を僕はどう受けとめたら、いい?








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