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HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

紅-クレナイ-の人21


































ユノside



男には女とか。女には男とか。
そんなこと誰が決めた?
これまで数えきれないほど女と関係してきた俺が、たったひとりの男に翻弄される日々をどう説明すればいいのか。
伏し目がちに話すその睫毛の長さから目が離せず、一旦動きを止めた目線に不意に捉えられ、タフなはずの心臓がとたんに駆け足とは情けない。
ユノさん、と俺を呼ぶ声はとても小さく、ボソボソ喋るからつい体を寄せてしまう。
そんな俺に焦って頬を赤らめる人間なんてこれまで周りにいただろうか。
近すぎだと責めるくせに、退く俺のスーツがぴんと張って、裾を握る手にどうしようもなく胸がざわつく。


とにかく冷静だと、自他共に認める俺の評価が一瞬で覆されるほど、そいつの威力は俺にとって脅威だ。
ごくりと喉が鳴る。
「あ、…っ、すみません」
慌てて離した手が収まりどころを探して浮遊して、しゅんと項垂れる撫で肩がさらに滑りをよくした。
「な、…歌って?」
「え、…?」
「おまえの歌、もっと聴きたい。」
疲れてるだろうおまえに、我儘だろうか。
でもおまえがいけない。
どんな状況だってこの一言で、ふっと頬を緩める可愛いおまえが駄目だよ。
「…じゃあ、子供の頃に好きだった子守唄を、…」
宿舎のリビングに透き通る柔らかな歌声が流れる。
それを俺はソファーへ深く凭れ、天を仰ぐように目を伏せ聴いていた。
チャンミンは子供の頃に覚えた歌をすべて子守唄だと言う。ヤツにとっては賛美歌さえ子守唄なのだ。
優しい旋律、心が洗われるような。
自分だって子供だろうに、施設で小さい子供相手に歌うチャンミンが容易に想像できて、あったかいような切ないような、…なんとも言えない気持ちになる。


「雷の夜は怖がる弟達を抱きしめながら、実は僕が一番震えてたんですよね。」
いつだったか冗談混じりに話してたよな。
俺はなぜだか笑えなくて、どうして俺がそこに居なかったのか悔しかった。
強がるチャンミンを馬鹿だなって弟達ごと抱きしめて、安らかに眠る夜を守ってやりたい。
そして俺も、夜毎チャンミンの子守唄に癒され眠るんだ。
きっと俺の人生はまったく違ったものになったろう。
チャンミンの歌声を独り占めしたがる自分がありありと浮かび苦笑する。
ああ、これではチャンミンが歌手になれないから困るな。


「…なに笑ってるんです?」
ふと見れば、歌の途中でチャンミンが俺を覗きこんでいた。
「いや、なんでもない。きれいな曲だな。」
「ふふ。寝てるのかなと思ってたのに、急に笑うからユノさんは不気味でしたよ。」
いたずらっぽく笑う顔が妙に可愛くて、その後頭部を引き寄せる。触れただけの柔らかな感触。
「っ、や、…ドンジュさんが、っ」
「大丈夫。まだ風呂から出てこないよ。」
でも、とチャンミンが焦って上体をあげたところでドアが音をたてた。
濡れそぼる髪を雑に拭きながら急ぎ足でドンジュさんが歩み寄ってくる。
「ユノ、おっ前ーー、またチャンミンに歌わせてたろ。チャンミンはプロだぞ、金払えっつの!」
「いんだよ、体で払ってんだから。」
「っ、は?」
「はぁぁ?」
耳まで赤く染めたのはチャンミンで、眉毛を吊り上げたのはドンジュさんだ。
肩を震わせながら冗談だよと俺は笑う。
この歌声を守るためならどれだけでも体を張ろうと、そう思ったことは胸の内に秘めた。
チャンミンの歌声を聴くたびじわじわと毛細血管までそれが行き渡り、俺のすべてをチャンミンという存在が侵食してきてるなんて、言える筈もなかった。




「うちのシムチャンミンに何か?」
「ユノさ、…」
ほんの少し目を離したテレビ局の廊下で、チャンスとばかりチャンミンへ話しかける男からチャンミンを奪い取る。
差し出された名刺がチャンミンの手をすり抜け床へ落ちた。
慌てて拾おうと屈むチャンミンより先に手を伸ばし、その印刷面を覗き見るのは容易い。
予想通り。
最近映画の主題歌を歌って大ヒットしたグループが所属する中堅どころの芸能事務所だ。
不躾な俺の態度に腹を立てたのか無言のまま俺を睨み付ける男に俺は見覚えがある。
そして目の前の男もまた。
「チョンユンホさんですね。あなたの事務所とはうちも懇意にしてますよ。いくら引く手あまたと言えどただのボディーガードに邪魔してほしくないですね。」
ふんと鼻で笑い、その男はチャンミンの肩へ手を伸ばす。
雇う側と雇われる側、立場で言えば俺の無作法な振る舞いが事務所へ迷惑をかけるかもしれない。
普段の俺なら上手くあしらうことも出来たろう。
それがチャンミンの肩へ触れる手にカッと血が逆流した。
気づけば男の腕をひねりあげ、苦しそうな呻き声とチャンミンの慌てた様子に俺は何をしでかしたのかと。
「っ、ユノさん、…何してるんですか!」
俺の腕を掴む震える手。
その顔は驚きと戸惑いで歪み、とても見てられない。



違うんだ、知り合いのディレクターにそれとなくチャンミンを売り込んで、そして知った。
儚く咲いた可憐な花は、当事者が思うよりずっと注目され、…狙われていた。
「申し訳ありませんでした。はい、…またゆっくり、…」
腕を擦りながら去っていく背中へ丁寧に頭を下げるチャンミン。俺はそれを突っ立ったまま、ただ眺めて。
「ユノさんが熱くなるなんて珍しい。でも、…助かりました。最近他の事務所の方から声を掛けられることが多くて、正直うんざりしてたんですよ。」
困ったように笑う細めた眸に見惚れた。


「いや、やり過ぎた。おまえにも嫌な思いをさせて悪かった。後からあちらへは謝罪を入れておくから。」
「ユノさん?」
一転した俺の態度を不思議そうにしてチャンミンは目的のスタジオへ向かう。
俺はその後ろをゆっくり歩きながら自然と漏れるため息を飲み込むように口元を引き結んだ。
俺は一体何をしてるのだろう。
仕事に私情を持ち込むのは厳禁だなんて、分かりきったことじゃないか。
ストーカー被害からタレントを守る、それが今回俺へ課せられた依頼だと言うのに。
実際の俺はどうだ。
事務所の力関係では上だろう人間に対して手をあげようとした。
それも、大したことじゃない。チャンミンへ触れようとした、…それだけのことで、だ。


「ユノさん。じゃあ、行ってきます。」
ふわりと振り向きざま俺の手を掠めるように撫でて、チャンミンが気にしないでとでも言うようにニコリと笑った。
つんと胸が軋むように痛み、自分の愚かさに情けなくなる。
これまで俺が噂になったタレントは数知れず、けれどそれは相手事務所の思惑も絡み殆どが噂だけのものだった。
俺もそれを承知でタレントに接したし、だからと言って心が揺らぐことなどなかったのに。
相手が本気になった時点で契約が中途で終わることもたまにあって、それすら俺は他人事のように傍観者だった。


それが、どうみても今の俺はマズイだろ。
たちの悪いストーカーが直ぐそこに迫っていると言うのに、俺は何を浮かれているのか。


眩しいくらいのスポットライトへ向かう後ろ姿は撫で肩もあるのか妙に頼りなさげだ。
それなのに一歩一歩踏みしめる足元は凛として、チャンミンの本気が窺える。
俺が、──本気になってる場合じゃない。
俺が守るべき本気は、目の前にあるのだと。
そう自分を納得させるしかなかった。







*********************



おはようございます、えりんぎです。
ずいぶんお久しぶりになってしまいました。
実は家族の入院などありまして、更新がストップしてしまいごめんなさい。
前記事で888888拍手が見えてきましたー、なんて言っておいて、気づけばすっかり超えちゃってましたよ。
更新がない日も読み返しなどでポチポチしてくださってありがとうございます。
「あー、待ってくれてるんだなぁ」と励みになります。


さて、『紅-クレナイ-の人』ですが、完結まで毎日更新しますね。
お引っ越しのつもりが別物のようになってます。
もともとSPユノと歌手チャンミンという設定萌えで書いた話でしたが、『書き直したい話No.1』になるほど設定負けした話でもあります。
それを友人との妄想により『天使な君』を書いたことでリベンジできたつもりでしたが、そうなると今度はアメブロの紅が浮いちゃってたんですよねぇ。


本来の9歳差設定にして、『天使な君』の伏線を引くという、後付けバリバリの自己満足話です。
それでもよろしければ、読んでやってください。


いつもありがとうございます。
では。






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Comment

point Re: 待ってました!!

kei****さま。

ありがとうございます♪
なんとかこちらのユノは9歳年上にしなきゃってことで、ちょっと大人っぽくしてますが伝わってますでしょうか?
流れは一緒ですが比べると別物みたいな話になってます。
あと少しお付き合いくださいね。

2019/09/21 (Sat) 22:12 | えりんぎ #nGQxvLy. | URL | 編集 | 返信

point 待ってました!!

えりんぎ様

すごーく待ってました!!
なかなか続編が出ないと油断していたら。。。待ってました!!

この作品、アメブロで読みましたが、凄い!
アメブロ作品も大好きだったのに、それ以上に好きです♪

ストーリーは知っているのにいつもドキドキ読んでます。

また次の作品も楽しみに首を長ーくして待ってます♪
いつもありがとうございます。( *´艸`)

2019/09/21 (Sat) 21:04 | keisato #5NEoDtS. | URL | 編集 | 返信

point Re:

ke***さま。

コメントありがとうございます。
私は特別“紅シリーズ”が好きなわけじゃないんですけど、買いてるうちにその世界観へハマッてしまうのは紅が一番です。
それにしても既に完結した話で続編までいくつか出てるような昔話にお付き合いいただいてありがとうございます。
除隊後再始動してからホミンに堕ちたファンの方もいらっしゃるようなので、ぜひ順番に読んでいただきたいなぁと思ったりして。

2019/09/18 (Wed) 17:27 | えりんぎ #nGQxvLy. | URL | 編集 | 返信

point Re: ありがとうございます

ぺこ***さま。

こんにちは。
大台を狙われる??って大台とは?(;゚∇゚)
気長にゆっーくり書いていきますね。
毎回同じようなえりんぎ話ですが、どうぞ気長にお付き合いください。
コメントありがとうございます。

2019/09/18 (Wed) 17:18 | えりんぎ #nGQxvLy. | URL | 編集 | 返信

point 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/09/18 (Wed) 17:11 | # | | 編集 | 返信

point Re:

いわ**さま。

コメントありがとうございます。
本当に嬉しいお知らせがたくさんでした。
大変なことが起こってもユノとチャンミンは常に心の支えになってます。
楽しみがあるっていいですね。
目の前の困難を乗り越える励みになるし、周りへ優しくできる、、、気がします(*^^*)
季節の変わり目、いわ**さんもどうぞご自愛ください。

2019/09/18 (Wed) 16:50 | えりんぎ #nGQxvLy. | URL | 編集 | 返信

point 管理人のみ閲覧できます

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2019/09/18 (Wed) 13:57 | # | | 編集 | 返信

point 管理人のみ閲覧できます

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2019/09/18 (Wed) 07:24 | # | | 編集 | 返信

point Re: おはようございます!

mix***さま。

おはようございます。
ご心配ありがとうございます。
実は残りそれほど多くないので、既に予約投稿してます。
お待たせしました(*^^*)

2019/09/18 (Wed) 06:59 | えりんぎ #nGQxvLy. | URL | 編集 | 返信

point 管理人のみ閲覧できます

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2019/09/18 (Wed) 06:19 | # | | 編集 | 返信

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