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HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

紅-クレナイ-の人22


































ドンジュside


──宿舎へ泊まり込んで正解だった。一体あの二人は、いつから?


毎日のようにチャンミンの歌声が宿舎で聴こえるようになった。
立ち上がってフルコーラスを歌うこともあれば、ソファーでユノと隣り合わせハミングだけのこともある。
アルバムの準備に入り一日中歌いっぱなしの日は喉を休めなければと注意するのに、物言いたげなユノの視線にあっさり陥落するチャンミンは本当に困ったヤツだ。
ユノの視線を一身に受けて歌うチャンミンの美しさは例えようもなく、歌い終わって重なる視線の甘さにどれほど俺が目のやり場に困ったことか。
これでは多少鈍い俺でさえ、さすがに気づく。
いや、…思えば最初からチャンミンの切なげにユノを探す目線には気づいていたはず。
ユノの女関係に過剰な反応を示したり、わざとらしいくらい無視するのも大人しく素直なチャンミンにとって尋常じゃないと、なぜ俺は。



「どうやらチョンユンホが手を回したらしい。」
広いようで狭い業界では噂がまわるのもはやい。
いち事務所の雇われボディーガードにしては顔が広いと一緒に仕事で回るようになってすぐに気づいたものの、俺が懸命に営業してやっと取れた仕事を容易く回すユノへ腹が立った。
こんなことをしてユノに何のメリットがあるのか。
たった数ヵ月の付き合いで、しかも第一印象は“喰えない男”だ。猜疑心ばかりが募る。


ユノじゃないが、俺もチャンミンは弱小事務所へ舞い降りた天使だと思っている。
透き通るような歌声は誰をも癒し、清らかな立ち姿は誰をも虜にするのだと。
もしやユノはどこか事務所の回し者じゃないだろうな。弱小事務所に射した一筋の光を奪い去るつもりでは。
そう疑ってみるものの、ユノが動いた理由は驚くほど単純だった。
ただ、──歌わせたいのだ、チャンミンに。
そしてより多くの人へ、その歌声を聴かせたいのだ。まるで宝物を見つけた子供がそれを見せびらかすように。


それだけなら俺もこうして悩むことはないのだけど、それだけじゃないから困るんだ。
こうして三人で楽屋へ戻ってきた今も目の前の甘い空気に頭が痛くなる。
「チャンミン。気づかれないようにしてたつもりだろうけど、喉の調子が良くないだろ?」
素早くチャンミンを引き寄せ、俺の役目を奪わんばかりにチャンミンの体調を気遣うユノ。
あれほどチャンミンに対して無関心だったくせに、その変わり身のはやさには呆れるばかりだ。
口ごもり顔をそらしたチャンミンの顎を取る、それがいちいち格好いいからチャンミンも動揺するじゃないかと文句のひとつも言わせてくれ。
「ユノ、お前がやたら歌わせるから喉に無理がたたったんじゃないのか?」
責めるように言えば、違います!とむきになって庇うのがチャンミンでは俺の立場がないじゃないか。
「僕の自己管理がなってなくて風邪ひいちゃって、…でも、毎晩歌ってるのは関係ないです。」
「おいおい、関係無くは、…っ、」
そう言い返そうと身を乗り出すと、会話の内容を聞く気もないのか、しれっとユノがチャンミンへマスクを装着する。
喉を温めろよ、とぽっかぽかのタオルまで渡す姿はこれまでのユノからは本当に想像もつかない。


「…おまえらさ、…」
ああ、もう駄目だ。
これが兄を慕うようにユノへ懐く弟であれば、どんなに微笑ましい光景だろう。
俺が願ったのはそういう関係性だったはずだ。
だけどな、チャンミン。
弟は兄をそんな目で見ない。
頬を上気させて綻ぶように笑ったりしないんだよ。
はぁ、…と吐く息が沈む。
嫌な役だけど、このまま放置するわけにはいかない。
「ユノ、ちょっと打ち合わせたいことがあるんだけど。」
チャンミンは恋愛経験こそ少ないけど、普通に女の子が好きだと言っていたのに。
「ああ、でもそろそろチャンミンの出番じゃないか?」
「スタッフが呼びにくるだろうから、一緒に行ってもらおう。こっちの話の方が緊急なんだ。」
ユノもユノだ。あれほど女と手当たり次第遊んでおいて、今度は男なんてシャレにならねぇからな。


すぐにスタッフの男性が呼びに来て、チャンミンを案内しようと合図する。
後ろ髪を引かれるように何度もチャンミンが振り返るから、そんな縋るように見つめるなよ。ともどかしくて堪らない。
おい、とユノがチャンミンを呼び止める。
「すぐに、…行くから。」
そう囁いたユノとチャンミンの雰囲気は、もはや誰も入り込めないんじゃないかと危惧するほどで。
早急に手を打たねば、と、さらに俺は危機感を増したのだった。




「──で?」
ドアが閉まるのを確認してから、俺へ向かい合うようにユノは無造作に腰かけた。
先程までの柔らかい表情ではなく、何を考えてるのか読めない出会った頃のユノだ。
勘のいいヤツだから俺が言いたいことを察してるのだろう。
「ユノ、…初対面で俺が言ったことを、お前は覚えてるか?」
きゅっと結んだ口元が開くことはなく、まっすぐ俺を見据えたまま。
整いすぎた容姿は時に恐いほど冷淡に映る。
今のユノがまさにそれで。
俺は怯みそうになるのを何とか堪え、ゆっくりと言葉を探した。
「…チャンミンは男だけど、そこらへんの女性より綺麗で、って言ったよな?お前は、それを笑い飛ばした。いくら綺麗でも男と遊ぶ趣味はないと、…覚えてるだろう?」
椅子に座り頬杖ついたユノを見下ろすように一歩近づく。
ユノの表情は変わらず、…それでも一言だけ、覚えてるよ。と呟いた。
「お前が、これまで契約してきたタレントとことごとく噂にあがってるのは知ってる。それが事務所の意図的な話題作りだったり、お前が本気で相手にしていないことも知ってるつもりだ。」
そこでふとユノの視線が俺を捉え、少しの動揺も見せず温度のない表情にブルッと背筋に冷たいものが走る。
本気で怒らせると恐ろしく狂暴になると噂で聞いたのを、とても信じられないと笑い飛ばした俺はとんだ間抜け野郎だ。
ユノはタレントとのスキャンダルで有名なだけじゃなく、かなり修羅場をくぐってきたのだろう格闘センスと強かさで業界に知られていると言うのに。


不意に理解したのは、俺が知ってる限り穏やかで誠実に仕事をこなすユノはチャンミンによるものが大きかったのだということ。
不器用ながら真摯に仕事へ向き合うチャンミンに、ユノも大きく影響されていたんだ。
けれど、…それは今、ここでは関係のないことだ。


コホンとひとつ咳払いをし、会話を続ける。
「女性タレントにとってお前とのスキャンダルが多少なりにもメリットがあるのはお前も知っての通りだ。」
最近の出待ちの多さはチャンミンの知名度が上がっただけじゃなく、ユノによるものも大きい。
ただのボディーガードに追っかけがつくほどの美貌をユノは持ち合わせているのだ。
「ユノとのスキャンダルは話題性もあるし、新人タレントであれば格も上がる、…ってことだよな?」
回りくどい俺の話にユノの口端がくっと上がり、吐息だけで笑う。
「ドンジュさん、──はっきり、言えば?」
一旦伏せた眸を再び向けられたら、俺はもう言うしかなく。
「ユノ、…でも、男は駄目だ。男のチャンミンにとってユノとのスキャンダルは命取りになる。」
「……、」
「なんてことが、分からないお前でもないだろう?」
「…ああ。」
「チャンミンは、育った環境のわりに純粋で素直なヤツなんだ。特に今はナーバスになってるからお前を頼りにする気持ちも理解できる。でも、そこまでだ。」
「ああ、…わかってる。」
ポツリポツリとこたえるユノに先程の妙な迫力は無く、ひどく傷つけてるような気分になってしまう。
それでも、──今、まだ間に合ううちに言わなければ。


「お前が少しでもチャンミンを大切に思ってくれてるなら、──これ以上お前のお遊びでアイツを振り回してくれるな。」


しんと一瞬の静寂。
当然のことを言ったまでなのに、なぜか俺の方が先に目線を外してしまった。
重苦しい空気を振り払うようにユノが立ち上がり、再び目が合う。
正直、見なきゃよかった、と思う。
「分かってる。…何もかも、分かってるさ。」
そう言って背を向けドアの向こうへ消えたヤツの、初めて見るその表情。
容赦ないと謳われた男に殴られるより、痛いと感じたのはどうしてだろう、──。












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Comment

point Re:

しま**さま。

予告しながら突然の更新ストップでご心配おかけしました。
それにとても嬉しいコメントをありがとうございます。
私もホミン小説を読むのが好きなので、突然サイトを閉められた方がみえると悲しいです。
以前大好きだった書き手さんがみえたのですが、その方がアンチのようになられちゃって。
本当に寂しいです。
私は何事も表裏一体だと思っているので、“幸せなのか”そうじゃないのかは自分がどちら側から見てるかによって変わると思うんですよね。
二人がこれまで歩んできた道のりと努力と誠実さと、そこに嘘はないので自分の思うまま二人を応援できたらなぁと思ってます。(と言いつつ、こんな小説を書いちゃってゴメンですね)


読者目線とおっしゃっていただきましたが、私自身が読者なので、自分が好きな二人を自分が好きなシチュエーションで、そしてしっかり完結させて何年経っても残せる、って私は幸せ者だなぁと思ってます。
その時どんな二人に萌えていたかが話を読めばすぐわかる!
私の自己満足な好みを好きだと共感してくださるのはとても嬉しいです。


あと、Strawberry Candleのオフ本の郵送などでみなさんのお名前がとっても身近になってます。
しま**さんもその節はどうもありがとうです。
生活環境が変わりなかなか妄想する時間が取れないのですが、これからもぼちぼち宜しくお願いします。

2019/09/19 (Thu) 17:58 | えりんぎ #nGQxvLy. | URL | 編集 | 返信

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2019/09/19 (Thu) 06:03 | # | | 編集 | 返信

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